東京パラ競泳金メダルの木村敬一らが母校でパラ報告会 後輩に刺激

2021年12月15日 05:30

五輪

東京パラ競泳金メダルの木村敬一らが母校でパラ報告会 後輩に刺激
生徒にメダルを見せる木村 Photo By スポニチ
 東京パラリンピックの競泳男子100メートルバタフライ(視覚障がいS11)で金メダルに輝いた木村敬一(31=東京ガス)が14日、母校の筑波大付属視覚特別支援学校(東京都文京区)で開かれた大会報告会に出席した。小学部と中学部の生徒43名を前に、周囲に支えられながら4回目のパラ出場で頂点に立った体験を踏まえ「1人では絶対に生きていけない。誰かに助けてもらえるような優しい人間になってほしい」と語りかけた。
 中学部から同校に入学して高等部卒業まで6年間通った木村は、距離が12メートルしかない同校のプールで泳いだ当時を「先輩にもたくさんパラリンピックに出ている選手がいた。12メートルプールからでもパラにいけるということは聞かされていた」と振り返った。中学3年時に初めての海外遠征で米国に行き、世界のレベルを肌で実感。「パラリンピックはこういう人たちがいくんだということを知った。その時に自分もいつか出場して金メダルを獲りたいと生まれて初めて夢を持てた」と語った。

 08年北京大会でパラ初出場を果たし、今夏の東京大会で悲願の初制覇。同校在学中に水泳部で指導を受け、レースの際に棒で頭を叩くなどしてゴールを知らせるタッパーを務めた元教諭の寺西真人さんから「おめでとう」と金メダル獲得を知らされた際は「17年間ずっとやり続けて“やっと長い旅が終わった”とホッとした」という。

 金メダル獲得前夜は午後10時に眠りに落ちたが、極度の緊張から2時間後に目が覚めて一睡もできなかったといい、不安と格闘。生徒からの質問コーナーで競技に臨む際の心構えを問われると「“自分はこれだけ頑張ってきたんだ”という練習によって裏打ちされた自信を持つようにしている。“自分は絶対大丈夫なんだ”と言い聞かせる」と回答した。

 同校では過去のパラリンピックにも多数の卒業生や在校生を送り込んできたが、東京大会では過去最多の日本代表16選手を輩出。今回の報告会では木村のほかに銅メダルを獲得したゴールボール女子の若杉遥(26=ALSOK)と高橋利恵子(23=筑波大)、ゴールボール男子の川嶋悠太(27=アシックスジャパン)、5人制サッカーで同校高等部3年の園部優月(18)も出席した。

 大舞台を経験した現役選手との交流に関し、山口崇副校長は「在校生にとっては非常に大きな刺激。夢を持つとかチャレンジというのは先生が言うよりも身近に感じられて、明確な目標につながる」と指摘。声優を目指す佐藤明莉(あかり)さん(小学部6年)は「プールの長さは関係ないという話を聞いて、私も好きなことを頑張りたいと思いました。諦めなければ何でもできるのかな」、歌手が夢という岸いろはさん(小学部6年)は「応援してもらえる人間になりたい」と誓った。

 小松愛陽(まひる)さん(中学部3年)は「気持ちの持ち方や努力の仕方で大舞台にもいけるんだなと希望をいただけました。視覚障がいがあっても世界一は目指せるんだな」と感激した様子。中重大翔(なかじゅう・だいと)さん(中学部3年)は金メダルを触らせてもらい「努力の証し、苦労の重みを実感できました」と語った。また、11月に視覚障がい者のためのヘレン・ケラー記念音楽コンクールで最も感銘を与えた演奏に贈られるヘレン・ケラー賞を受賞した矢部菜央(ななか)さん(中学部1年)は「もっと上の賞を獲れるように頑張りたい」と刺激を受けていた。

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