【元横綱稀勢の里コラム】久々の夏巡業、ファンにも力士にも貴重な機会に
2022年08月03日 07:00
相撲
私も現役時代にはいろんな場所に行きました。1日興行が多かったものの、その地域ならではの食事などを楽しみにしていました。個人的には普段あまり行くことがなかった広島などが好きでしたね。力士たちにとっては、技量のレベルアップを見込める重要な場所です。巡業を通じて体つきが変わってくる力士もたくさん見てきましたし、昔の力士はしっかり体づくりをして、そのまま場所前の稽古につなげていました。
稽古ではいろんな部屋の力士と稽古ができます。私は出稽古をしなかった部屋に所属していたので、ひと皮むける場所にもなりました。小兵力士や突き押し、四つ相撲。普段の稽古では体験できない人と稽古することで自分に足りないものなどを発見できる利点があります。体育館の土俵だけが稽古ではありません。屋外の地面などに円を描いた即席の土俵で汗を流す「山稽古」は巡業ならではの光景。私は好きでした。
夏巡業は力士の参加人数を抑えるなど感染対策を十分行った中で実施されます。触れ合いも制限されますが、再開を待ち望んでいるファンの笑顔が目に浮かびます。一日でも早くコロナ禍が収まり、全国各地で巡業が行われることを切望しています。 (元横綱・稀勢の里)