玉鷲 37歳10カ月、最年長賜杯!高安圧倒で決着 円熟の“鉄人”原動力は「生き生きした心」
2022年09月26日 05:30
相撲
直接対決で1差の高安を圧倒。相手の左かち上げに対し、右で強烈におっつけ、いなして崩すと休まず一気に押し出した。「自分の相撲で勝てて、うれしい」。単独トップに立った11日目以降は「毎日毎日緊張した。でも以前のように、どうしよう?と不安にはならない。しっかりしなくちゃ!と思えた」と3年8カ月前の経験が大事な局面で生きた。
37歳でパワーあふれる理由の一つはオンとオフの切り替えのうまさにもある。「体の調子より心の調子が大事。いい体をしていても生き生きした心がなければ生かせない」。洋菓子作りや手芸を趣味にするほど手先が器用で、男の子2人の父として育児にも積極的にかかわる。稽古場以外で怒る姿を、師匠の片男波親方(元関脇・玉春日)は「ほとんど見たことがない」。秘めた闘志を爆発させるのは土俵の上だけだ。
所属部屋に関取は自身のみで稽古相手に恵まれなくても、今場所は平幕として37年ぶりに1横綱3大関を総なめ。四股、てっぽうなど基本動作を徹底して強い体をつくり、実戦的な稽古は前後左右から揺さぶる幕下以下の若手力士2人を同時に相手するなど創意工夫した。師匠は「初優勝した時の方が強い」と断言する一方「相手の力をうまく逃がす感覚を身につけた」と円熟味は進化している。
何歳まで現役を続けたいか問われ、玉鷲は「“玉鷲が面白くなくなったな”と言われるまで」と答えた。ファンが喜ぶ様子をモチベーションに元気いっぱいに土俵を務める。
【スポーツ界の主な最年長記録】
☆プロ野球 山本昌(中日)が15年10月7日の広島戦に先発、50歳57日で登板。14年9月5日の阪神戦は49歳25日で勝利投手になった。
☆サッカー 三浦知良(横浜FC)が17年3月12日のJ2群馬戦で50歳14日で得点。21年3月10日にはJ1浦和戦に54歳12日で出場した。
☆バスケットボール 20年5月に引退した折茂武彦(北海道)が同3月に49歳10カ月でBリーグ出場。
☆ラグビー 松園正隆(宗像サニックス)が16年に43歳0カ月でトップリーグ出場。
☆スキージャンプ 葛西紀明(土屋ホーム)が14年に史上最年長の42歳5カ月でW杯優勝。
【玉鷲 一朗(たまわし・いちろう)】
☆本名 バトジャルガル・ムンフオリギル。
☆生まれ 1984年11月16日生まれ、モンゴル・ウランバートル出身の37歳。
☆サイズ 1メートル89、174キロ。
☆得意 突き、押し。
☆初土俵 片男波部屋に入門し、04年初場所でデビュー。同期には嘉風(現中村親方)ら。08年初場所で新十両に昇進し08年秋場所で新入幕を果たす。15年春場所で新小結。17年初場所では新入幕から所要49場所(当時は歴代5位のスロー)で新関脇に昇進。
☆角界の鉄人 歴代3位となる初土俵以来連続1463回出場。22年名古屋場所は部屋に新型コロナウイルス感染者が出て途中休場したが、相撲協会は記録は継続との見解を示す。
☆朝倉市 部屋が九州場所で宿舎を構える福岡県朝倉市の親善大使。同市は17年7月の九州北部豪雨で甚大な被害を受けたが、同年九州場所11日目で勝ち越し。場所前に慰問をして「勝ち越して恩返しをすると約束していた」と涙。
☆金星7個 15年夏場所9日目に日馬富士から初めて獲得。今場所5日目に照ノ富士を撃破。37歳9カ月の獲得は昭和以降新入幕で4位の高齢記録。
☆三賞 殊勲2、技能1、敢闘1。
☆趣味 洋菓子作り、手芸、プラモデルなど。
☆家族 エルデネビレグ夫人、長男・テルムンくんと初優勝した日に誕生した次男・エレムンくん。
【玉鷲の主な記録】
☆モンゴル出身力士 3場所連続96回目の優勝。最多は白鵬の45回。
☆高齢 37歳10カ月での優勝は旭天鵬の37歳8カ月を抜いて史上最高齢優勝。
☆平幕優勝 名古屋場所の逸ノ城に次いで2場所連続。平幕連続Vは91年名古屋、秋場所の琴富士、琴錦以来31年ぶり。
☆優勝間隔 初優勝した19年初場所以来、21場所ぶり。千代大海と並ぶ歴代5番目のブランク。最長は琴錦の43場所(91年秋~98年九州)。
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