さあ頂上決戦 5年連続の学生日本一目指す関学大 7度目出場で初勝利狙う早大
2022年12月14日 06:00
アメフト
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早大を率いる高岡勝監督は、穏やかな口調に闘志を潜ませた。圧倒的な「個」を擁しながら、「組織」の力に屈してきた屈辱の歴史。聖地を離れた3年間は、ひたむきにフィジカルを鍛え、ゲームオーバーまで走り負けない体力を養ってきた。突出した力に頼るフットボールから、全員の力を結集するフットボールへ。関学大のスタイルは、その「究極型」といってもいい。
アメフトの世界では、基本、基礎を「ファンダメンタル」と表現することが多い。関学大の大村和輝監督は、ファンダメンタルの練習を「禅問答みたいなもの」と言い切った。「例えば、うちはしっかりヒットする練習をずっとやっている。細かい部分を大事にしているから、細かい部分を選手同士で指摘し合えるし、いいことしかない」。相手に当たる角度、タイミング、足の踏み出し方、体重移動…。自問自答を繰り返しながら、最も効果的なヒットを模索し、試合で実践する。最近10年間で8度を数える甲子園ボウルVの金字塔は、全員が地味な鍛錬を積み重ね、自分に打ち勝ってきた証明だった。
シーズンを通して低調だったオフェンスをディフェンスの成長で補って勝ち取った7年連続の出場権。指揮官が殊勲甲に挙げた名前も、KGイズムの体現者だった。「(DLの)山本大地は真面目で、本当にファンダメンタルを大事にする子ですね」。勝利のために「己」を捨て、一丸になれる関学大ディフェンスに、早大がどこまで食い下がれるか。興味は尽きない。
「サイドラインも含めて、まだ日本一になれるチームを体現できていない。力を一つにして、88年の部の歴史を変えてみせたい」
早大・亀井理陽主将の決意表明が頼もしい。王座防衛か、新王者誕生か。コロナ禍に翻弄(ほんろう)された競技生活に、一つの決着をつける戦いが始まる。(堀田 和昭)=完=