ジム・ブラウン氏が死去 87歳 NFLブラウンズの元RB 北米プロスポーツ界の至宝

2023年05月20日 08:33

アメフト

ジム・ブラウン氏が死去 87歳 NFLブラウンズの元RB 北米プロスポーツ界の至宝
1965年のジム・ブラウン氏(AP) Photo By AP
 NFLを代表するランニングバック(RB)の1人で、その運動能力の高さから北米プロスポーツ界で史上最高のアスリートと評価されていたジム・ブラウン氏が18日夜、ロサンゼルスの自宅で死去。妻のモニークさんが19日にSNSでその事実を明らかにしたもので87歳だった。「穏やかな最期」と記されている。
 ブラウン氏(188センチ、105キロ)は高校時代に野球、バスケットボール、フットボール、陸上さらにラクロスの選手として活躍。野球では投手としてノーヒット・ノーランを2度達成した。シラキュース大(ニューヨーク州)に進学してもマルチな才能をフルに発揮。ラクロスでは全米トップの選手と評価され、バスケットボールでは43試合に出場して平均13・1得点をマークし、陸上では十種競技の選手として競技会に出場していた。

 フットボールでも大活躍。1回のキャリーで平均14・9ヤードという当時としては前代未聞の成績を残し、1957年のNFLドラフトでは1巡目(全体6番目)にオハイオ州クリーブランドに本拠を置いていたブラウンズに指名された。この年のNBAドラフトでも9巡目(全体68番目)にシラキュース・ナショナルズ(現76ers)に指名されるなど、複数の競技で全米の注目を集めていた。

 誕生日は2月17日で、27年後に生まれたNBA元ブルズのマイケル・ジョーダン氏と同じ。ジョーダン氏が80年代に爆発的な活躍を見せ始めたころには、ブラウン氏と重なる運命的な?バースデーもよく話題になっていた。

 ブラウンズ入団後もリーグ屈指のRBとしてチームをけん引。在籍期間は9シーズンと短かったが、そのうち8シーズンで「リーディング・ラッシャー」となった。現在NFLはシーズン17試合制だが、ブラウン氏の入団から4シーズンは12試合制でその後の5シーズンは14試合制。試合数が少なかったにもかかわらずシーズン1000ヤード以上を7回記録し、1963年にマークした1863ヤードは現在もなおNFLブラウンズのチーム最多記録として残っている。なにより9シーズン、全118試合に一度も欠場することなくフル出場しており、そのタフネスぶりも“記録的”なものだった。

 NFL通算では1万2312ヤード、106TDをランで獲得。1回当たりの獲得ヤードは5・2ヤードだった。まだスーパーボウルは存在していなかったが、リーグ優勝決定戦には3回出場して1964年には優勝。シーズンMVPには3回選出された。

 1971年に殿堂入りを果たし、2002年にはスポーティング・ニュース誌の「最も偉大なプレーヤー」、2020年にはNFL「オールタイム・チーム」の100人に選出された。また大学のフットボールとラクロスでも殿堂入りを果たしている。

 引退後は俳優に転向。アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「バトルランナー(1987年)」や、NFLの内幕を描いたオリバー・ストーン監督の「エニイ・ギブン・サンデー(1999年)」などの作品に出演している。

 黒人の公民権運動や地位向上といった社会活動にも貢献。ボクシングのムハマド・アリ氏の徴兵拒否によるライセンスはく奪問題では、同氏を支援するために黒人アスリートによる全米規模の集会(クリーブランド・サミット)を主宰し、そこにはNBAのスーパースターだったビル・ラッセル氏やルー・アルシンダー氏(その後カリーム・アブドゥルジャバーに改名)らも参加していた。

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