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銀杏を食べ過ぎると出る「銀杏中毒」とは?1日何個まで?こんな症状は危険ライン

2024年10月03日 09:00

銀杏を食べ過ぎると出る「銀杏中毒」とは?1日何個まで?こんな症状は危険ライン
秋の味覚の銀杏。独特の味や香りの虜になっている人もいるのではないでしょうか。 しかし、いくらおいしいからといっても、銀杏…

秋の味覚の銀杏。独特の味や香りの虜になっている人もいるのではないでしょうか。

しかし、いくらおいしいからといっても、銀杏の食べ過ぎには要注意。1日の摂取量を守らないと銀杏中毒になってしまうかもしれません。

本記事では銀杏を正しくおいしく食べるために、銀杏中毒の特徴や摂取量について、薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーターの山形ゆかりさんが解説します。

銀杏の食べ過ぎは「銀杏中毒」の原因に!症状と特徴

料理に入れたりお酒のお供にしたりと、ついたくさん食べてしまう銀杏ですが、食べ過ぎると銀杏中毒になってしまう危険性があります。銀杏中毒の症状とは。

銀杏中毒の症状

銀杏中毒の症状は、嘔吐、下痢、呼吸困難、けいれんなどです。そのほか、不整脈、足の麻痺、発熱などが起こることもあります。

銀杏中毒の発症時間は摂取後1~12時間と幅があり、6時間以内での発症が多いとされています。回復には24~90時間が必要です。

また、重篤な場合は全身のけいれんや意識混濁を引き起こし、最悪の場合死亡することもあります。(※1)

銀杏中毒を引き起こす成分

銀杏中毒の原因は、4-O-メチルピリドキシンという成分にあります。

4-O-メチルピリドキシンは、銀杏に含まれる成分で、神経伝達物質を生成する栄養素であるビタミンB6とよく似た構造をしています。

ビタミンB6は神経伝達物質を生成する働きがあり、なかでも、GABAという物質は高ぶった神経を鎮める大切な物質です。

「GABA(ギャバ)」とは。なぜ睡眠の質向上が期待できるのか?

しかし、銀杏の多量摂取により4-O-メチルピリドキシンが増えると、からだが4-O-メチルピリドキシンをビタミンB6と勘違いして体内に取り込んでしまい、ビタミンB6不足に陥ります。

その結果、GABAが生成されず、神経が興奮状態のままになり、けいれんなどの神経系の異常があらわれてしまうのです。

4-O-メチルピリドキシンは加熱しても毒性が消えないため、調理方法にかかわらず銀杏を食べ過ぎないように注意が必要です。(※2)

銀杏中毒になりやすい人の特徴

銀杏中毒は、大人より体内にビタミンB6が少ない子どもの方がなりやすいと言われています。

また、大人でもビタミンB6が不足傾向にある人は注意が必要です。とくに、アルコール依存症の人はビタミンB6不足になりやすいため、注意が必要です。(※3)

銀杏は1日どのくらいまで?摂取目安量

銀杏はどのくらいまで食べていいのでしょうか。目安は以下です。

  • 5歳未満は0個
  • 5歳~14歳までは6個以下
  • 大人は20個

しかし、5歳の子どもが銀杏を6~7個食べて銀杏中毒になった例も報告されているため、一概に何個までOKという明確なラインはありません。

子どもはできるだけ銀杏の摂取を避け、健康な大人であっても食べ過ぎには注意しましょう。

銀杏を食べ過ぎた場合、どうしたらいい? 対処法

万が一、銀杏を食べ過ぎてしまい体調が悪化した場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。

食べ過ぎたからといって無理に吐き出すのはNG。嘔吐によりけいれんを誘発させてしまう可能性があります。

体内のビタミンB6の量が安定すれば回復はしますが、銀杏中毒による死亡例もあるため、医師の指導のもと適切に対処することが大切です。

次:銀杏の食べ過ぎ・中毒を防ぐには?

銀杏の食べ過ぎ・中毒を防ぐためのポイント

銀杏が好きで食べ過ぎてしまう人、銀杏は好きだけど銀杏中毒が怖くて食べられない人。

そんな人たちのために、銀杏の食べ過ぎや中毒を防ぐポイントをお伝えします。摂取量を守りながら銀杏の味を楽しみましょう。

茶碗蒸しや炊き込みご飯などにする

銀杏中毒の一番の予防策は、食べ過ぎないことです。銀杏の串焼きや、揚げ銀杏などは、小さくて食べやすいため、知らないうちに食べ過ぎてしまいますよね。

そんな人には、銀杏を料理に入れてしまうのがおすすめです。

銀杏を茶碗蒸しや炊き込みご飯などに入れれば、他の食材と一緒に食べられますし、調理時に量も調整できるため、食べ過ぎを防止できます。

ビタミンB6を多く含む食品と一緒に食べる

銀杏中毒はビタミンB6が不足することで起こります。そのため、銀杏を食べるときは、一緒にビタミンB6が含まれた食品を食べるのもひとつの予防策です。

ビタミンB6が多く含まれる食材はマグロやカツオなどの魚類や、レバー、赤身肉などです。市販のサプリメントでビタミンB6を補っておくのもいいですね。

ビタミンが多い食べ物一覧、効果的なとり方、サプリ活用術[管理栄養士監修]

銀杏の栄養素と、期待できる効果とは

ここまで食べ過ぎによる銀杏中毒の怖さをお伝えしてきましたが、うれしい効果もたくさんあります。

皮膚や粘膜の健康を保つ

銀杏には、ビタミン類が豊富に含まれています。とくに、アンチエイジング効果のあるビタミンAの元となる、β-カロテンが多く含まれているのが特徴です。

ビタミンAには皮膚や粘膜の健康を保つ働きがあります。肌の新陳代謝を促す作用があるため、肌の老化防止が期待できます。

また、β-カロテンはビタミンCの1000倍もの抗酸化作用があるため、紫外線による老化やシミを予防する効果も期待できます。銀杏はアンチエイジングの強い味方です。

高血圧やむくみの予防・改善

銀杏には、カリウムも豊富に含まれています。カリウムは、体内の塩分を、汗や尿などと一緒に体外に排出する役割があるため、高血圧やむくみの予防・改善が期待できます。

血圧が高めな人や、脚や顔がむくみがちな人は、銀杏を食べてみるのもいいかもしれません。

疲労回復

銀杏は、身体のエネルギーとなる糖質や、糖の代謝に関わるビタミンB1を豊富に含んでいます。ビタミンB1の働きにより、糖を代謝してエネルギーを生産することで疲労回復や食欲不振、肩こり、イライラの解消などにつながります。

小さな一粒で心身ともに元気にしてくれるのはうれしいですね。

<参考>
※1 宮崎 大ほか「健常成人に発症した銀杏中毒の1例」
※2 公益財団法⼈⽇本中毒情報センター「ギンナンの⾷べ過ぎに注意しましょう 」
※3 NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター「第21回銀杏中毒にご用心」

監修・執筆者プロフィール

あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

<Edit:編集部>

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