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なぜ「タンパク質はダイエット成功の鍵」と言われるのか?その理由と痩せるメカニズム

2024年10月11日 09:00

なぜ「タンパク質はダイエット成功の鍵」と言われるのか?その理由と痩せるメカニズム
タンパク質とは、体のあらゆる組織をつくる重要な栄養素です。タンパク質はダイエットをする上でとても重要な栄養素ですが、その…

タンパク質とは、体のあらゆる組織をつくる重要な栄養素です。タンパク質はダイエットをする上でとても重要な栄養素ですが、その理由とは。タンパク質を効率的に摂取するポイントや、とり過ぎのデメリットなどを、認定運動支援薬剤師の中田早苗さんが解説します。

タンパク質はダイエットにどんなメリットを与える?

タンパク質がダイエットで重要な理由として「基礎代謝」「満腹感」「脂肪燃焼」「筋肉量」があります。

タンパク質をきちんと摂ることで、基礎代謝の低下を防ぐ

タンパク質は、基礎代謝と重要な関係を持つ栄養素です。

基礎代謝とは、心拍や呼吸、体温調節など、生命を維持するエネルギーのことで、1日の総消費エネルギーの約70%を占めています。基礎代謝が上がれば消費エネルギーが増し、痩せやすくなると言えます。

基礎代謝は筋肉量に比例して上がるので、基礎代謝を上げるには、筋肉量を増やさなければなりません。そこで重要なのが、筋肉の材料となるタンパク質です。

「タンパク質の摂取→筋肉量の増加→基礎代謝のアップ」という流れが、ダイエット成功のカギを握ります。

消化に時間がかかるため満腹感が持続する

炭水化物は2〜3時間で消化されますが、タンパク質は消化に4〜6時間かかります。そのため、炭水化物よりもタンパク質を多く摂った方が満腹感を持続しやすいでしょう。

白米やパン、麺などの主食を半分に減らして、鶏肉や牛豚肉、魚介類、卵などタンパク質が豊富な食材を1.5倍に増やすと、無理なくダイエットが進められます。

脂肪の蓄積を防ぐ

タンパク質を多く摂ると、脂肪がエネルギーとして消費されやすくなり、脂肪の蓄積を防げます。

タンパク質の摂取によって「食事誘発性熱産生(DIT)」(※)が高まり、消費エネルギーが増えて脂肪燃焼されやすくなるためです。

(※)DITとは、3大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)が消化吸収される際に発生するエネルギーのこと。Dタンパク質がもっとも高い

筋肉量を維持できる

ダイエット中にタンパク質をしっかり摂ると、筋肉量を維持しやすくなり、基礎代謝の低下を防ぐため太りにくくなります。

逆に、タンパク質が不足すると筋肉量が減り、基礎代謝も低下し太りやすくなります。筋肉量を維持したまま脂肪を減らすのが理想的なダイエットです。

脂肪と一緒に筋肉も減ってしまうと、見た目は痩せても実際には太りやすい体質になってしまい、リバウンドの可能性も高まります。

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ダイエットでタンパク質を効率よく摂取するには?

ポイントは「摂取量」「摂取回数」「タンパク源」「補助食品」の4つです。

タンパク質の1日の摂取目安量

タンパク質の1日の摂取目安量は、目的によって異なります。

  • 筋肉量の維持が目的の場合:1日に体重1kg当たり1gが目安
  • 筋肉量の増加が目的の場合:1日に体重1kg当たり1.2~1.5gが目安

筋肉量が少ない人は、ダイエット効果を高めるために、筋肉量のアップを狙いましょう。

たとえば、体重50kgの人が筋肉量を増加するには、1日に60〜75gのタンパク質が必要です。これは、卵だと10〜12個、赤身の牛肉だと300〜370gに相当します。

まずは、自分に必要なタンパク質の摂取量を確認してみましょう。

 タンパク質を分けて摂る

タンパク質を多量に摂取すると、余剰分は肝臓で糖や脂肪に変換されてしまいます。よって、1日の必要量を何回かに分けて摂取する方が効率的です。

無理のない摂取量としては、1回につき20〜30gが目安です。たとえば、1日に80g必要であれば、20gずつ4回(朝・昼・間食・夕)に分けて摂取します。

また、分けて摂った方が、1日を通して血中のアミノ酸濃度を高く維持しやすいため、筋肉量の増加や基礎代謝のアップに有効です。

 異なるタンパク源からタンパク質を摂取する

タンパク質は、肉や魚、卵、牛乳などに多く含まれる「動物性タンパク質」と、大豆や穀物などに含まれる「植物性タンパク質」に分けられます。

動物性タンパク質と植物性タンパク質の大きな違いは、アミノ酸のバランスです。

  • 動物性タンパク質:必須アミノ酸をすべて含む完全タンパク質
  • 植物性タンパク質:いくつかの必須アミノ酸のみを含む不完全タンパク質

よって、動物性タンパク質の方が筋肉づくりには有効性が高いといえます。

ただし、植物性タンパク質には、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれているので、健康的なダイエットをするには、両方をバランスよく摂るのが理想です。

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また、同じ動物性タンパク質の食材でも、肉と魚では含まれている栄養素が違います。それぞれの食材に含まれている主な栄養素は以下の通りです。

  • 肉:タンパク質・ビタミンB群・鉄分・コラーゲン
  • 魚:タンパク質・DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)

よって、両方からタンパク質を摂取した方が、栄養バランスがよくなります。タンパク質を摂取する際は、異なる食材から摂取するよう心がけましょう。

プロテインなどの補助食品も活用する

3食だけで必要なタンパク質をまかなおうとすると、肉や魚の量が多くなり、食べるのに一苦労することもあるでしょう。

また、脂肪の過剰摂取につながる可能性もあります。そういった際にプロテインなどの補助食品を活用すると、低脂質・低糖質でタンパク質を10〜20gを摂れます。

しかも、ビタミンやミネラルなども配合されているので、栄養バランスも整います。

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 タンパク質を豊富に含む食材一覧

タンパク質を豊富に含む食材を見ていきましょう。「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」に分けて、選び方のポイントとおすすめ食材を紹介します。

動物性タンパク質を多く含むおすすめ食材

動物性タンパク質のおすすめ食材は下記の通りです。

  • 肉類:鶏のむね肉(皮なし)・鶏のささみ・牛豚のヒレ肉
  • 魚介類:マグロ・カツオ・アジ・カレイ・サケ
  • 卵・乳製品:鶏卵・低脂肪ヨーグルト・低脂肪牛乳

動物性タンパク質の食材を選ぶポイントは「高タンパク・低脂肪」です。

牛ロース肉を例に考えてみると……

たとえば、脂身つきの牛ロース肉だと、1食(60g)でタンパク質を9.7g摂れますが、脂質が15.8gあるため、ダイエット中はおすすめできません。

同じ牛肉でも、脂身がないヒレ肉であれば、1食(60g)でタンパク質が12.5g摂れ、脂質は6.7gに抑えられます。

植物性タンパク質を多く含むおすすめ食材

植物性タンパク源のおすすめ食材は下記の通りです。

  • 豆類:豆腐(おぼろ、絹ごし、もめん)・納豆・えんどう豆
  • 豆乳:無調整豆乳
  • 麺類:そば・そうめん・ビーフン

植物性タンパク質の食材を選ぶポイントは「低カロリー」です。

豆腐(絹ごし)を例に考えてみると……

たとえば、豆腐(絹ごし)は100gでカロリーが56kcalしかないので、ダイエット中でもカロリーを気にせず安心して食べられます。

しかし、同じ大豆食品でもがんもどきになると、100gでカロリーが228kcalもあるため、植物性タンパク質を取ると同時に、カロリーも多く摂ってしまいます。

ダイエット中にタンパク質を摂取するときは「過剰摂取」に注意!

タンパク質を過剰摂取しないようにする

タンパク質の過剰摂取は、体に負担となることがあります。使用されずに余ってしまったタンパク質は、肝臓でアミノ酸分解の過程を経て、糖や脂肪に変わります。

また、アミノ酸の分解によって窒素が生じアンモニアに転換されます。アンモニアは有害なので尿となって体外に排出されますが、大量の水分が必要となるため、のどが渇きやすくなります。

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栄養バランスが偏らないようにする

ダイエット中は栄養バランスが偏らないよう注意する必要があります。

特定の栄養素しか摂取しない食生活を続けていると、疲れやすくなったり生活習慣病のリスクが高まったりなど、さまざまな悪影響が出やすくなるのです。

たとえば、タンパク質が摂れていても、ビタミンやミネラルが不足していたのでは、体の機能が鈍り脂肪が燃えにくくなるなど、ダイエットの妨げにもなります。

肉や魚と一緒に緑黄色野菜を食べるなど、栄養バランスが偏らないよう対策をとりましょう。

水分不足にならないようにする

タンパク質が十分に機能を発揮するためには、水の働きが重要です。なぜなら、タンパク質の表面は水で覆われており、水との相互作用によって、タンパク質の構造が維持されているからです。

そのため、水分が不足し乾燥してしまうと、タンパク質は活性化されず、本来の役割を果たせなくなります。

タンパク質の機能を低下させないためには、こまめに水分を補給して、体内を水分不足にしないよう注意しなければなりません。

食材を選ぶときは脂肪の含有量に気をつける

いくらタンパク質が多くても、それ以上に脂肪が多くてはカロリーオーバーになる可能性があります。

食品に含まれている「脂肪のカロリー」が、「タンパク質のカロリー」を上回らないものを選ぶようにしましょう。

ロースハム(薄切り1枚)を例に考えてみると……

ロースハム(薄切り1枚)には、タンパク質1.7g、脂肪1.4gが含まれています。

脂肪の含有量よりもタンパク質の含有量の方が多いですが、それぞれのカロリーを計算してみると、タンパク質が6.8kcal、脂肪が12.6kcalとなり、脂肪の方がカロリーが多くなります。

  • タンパク質1g=4kcal
  • 脂肪1g=9kcal(水分などを除くと7.2kcal)

監修者プロフィール

あんしん漢方薬剤師 中田早苗(なかだ さなえ)

デトックス体質改善・腸活・膣ケアサポート薬剤師・認定運動支援薬剤師。病院薬剤師を経て漢方薬局にて従事。症状を根本改善するための漢方の啓発やアドバイスを行う。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。

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