マー君、初の無四球完封!CS消滅危機救った
2010年08月23日 06:00
野球
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勝つだけでは足りない。自力でのCS出場消滅の危機。流れを変えるため、田中は完封にこだわった。球速は今季最速154キロを3度も計測し、マウンドでは何度も雄叫びを上げた。
「きょうこそは完封したかった。チームが波に乗りきれない状況で、流れを変えたかった。野手は投手の背中を見て守っている。何か感じてもらえたら。今年初めて自然と吠えてました」
最大のピンチとなった8回無死二、三塁。4点リードでクリーンアップを迎えたが、1点も許すつもりはなかった。「無失点に抑えるには三振しかない」。カウント2ストライク1ボールから、松田を145キロの高速フォークで空振り三振に仕留めた。7月3日の練習中に右太腿裏を痛める直前から、キャッチボールやブルペンで試していた新球。「直球に近い球速の方が打者も打ちにくい。打者の目先を変えるために覚えた」とスプリットと呼ばれる握りの浅いフォークで狙い通り三振を奪った。続く小久保、多村には150キロを超える直球を連投。力でねじ伏せた。
10安打を許しながらも、プロ初の無四球完封勝利。試合の主導権は一度も渡さなかった。3点の援護を受けた直後の2回。先頭のペタジーニを142キロのフォークで空振り三振に斬るなど3者凡退。チームがイニング別で最多となる64失点している「魔の6回」には、ペタジーニに対して2球連続で今季最速となる154キロを投じた。最後はスライダーで空振り三振。そして吠えた。その姿に、初回先制の左前打を放ったベテラン山崎も「田中は12気筒エンジンを積んどる」と絶賛した。
甲子園は原点であり、今も勉強の場。練習の合間を縫って、今夏も甲子園のテレビ中継にかじりついた。20日の準決勝、興南―報徳学園戦。「報徳が5点リードしていたけど、試合の流れが変わるのはテレビを通しても分かった。島袋君が8回に3者連続三振を奪って、試合の流れを完全に自分たちのものにした」。エースはチームの流れを変えられる。高校球児から再確認したことを、プロのマウンドで実践した。
チームは連敗を3で止めたが、借金13と厳しい状況は変わらない。それでも、お立ち台の田中は「甲子園はきのう終わりましたけど、プロ野球はまだまだ続きます。本気でやらないと先は見えてこないので頑張っていきたい」。逆転CS出場へ、自身とチームも鼓舞するメッセージ。田中には熱い夏がよく似合う。
▼楽天・ブラウン監督(田中について)直球は今年一番。他の球種も生きた。10安打を許しながら114球で投げきったのは、球威に自信があってゾーンで勝負できていたから。三振が必要なところで取れる数少ない投手だ。
≪夏に強いマー君≫田中が無四死球で今季初の完封勝利。自身の無四死球完投は08年6月16日の巨人戦(3失点●)、今季8月8日の日本ハム戦(1失点○)に次いで3度目だが、無四死球の完封勝利は初めて。完封勝利は自身通算7度目で、被安打10は過去2度の6を上回り最多だった。またこの日で今季投球回を149とし、シーズン規定投球回(144回)に到達。高卒1年目から4年連続の到達は、67~76年江夏豊(阪神→南海)の10年連続以来となった。これで8月の通算成績は14試合で9勝1敗。1年目の07年8月31日西武戦から8連勝と夏に強い。
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