ミスタータイガース村山実、天覧試合30年目のリベンジ 愛弟子・岡田が満塁弾
2019年03月05日 08:30
野球
![ミスタータイガース村山実、天覧試合30年目のリベンジ 愛弟子・岡田が満塁弾](/baseball/news/2019/03/05/jpeg/20190305s00001173069000p_view.jpg)
梅雨晴れの甲子園にあの天覧試合を思い起こさせる人物がやって来た。阪神広報部長・大津淳が明石城の城主だという。徳川家の流れをくむ明石松平家15代当主、松平直晃(会社社長)で学習院で常陸宮殿下(今の天皇陛下の弟宮)の同級生だった。「殿下にプロ野球の魅力をお伝えしたい」と知人の大津を頼り、巨人との伝統の一戦を観戦に訪れた。
平成と元号が変わった1989年6月25日である。天覧試合が行われた59(昭和34)年から30年目だった。
球界はセ・リーグ会長・川島広守が「平成にも天覧試合を」と前向き発言するなど機運が盛り上がっていた。皇室に近い松平の来訪で周囲が天覧試合の話題となるなか、阪神監督・村山実は「えっ!? 今日があの日か」と驚き、ベンチ入りした。チームは5位に沈み4連敗中。新人時代の原点に思いをはせる余裕などなかった。
満員札止め5万5000観衆の一戦は本当に魅力が詰まっていた。1―4の8回裏2死満塁、岡田彰布がガリクソンから左翼へ逆転決勝の満塁弾を放ち、劇的な勝利をあげた。
殊勲の岡田は「あの回、満塁になればオレの出番やと気合を入れていた」と話した。当時、色紙には「有言実行」と書いた。前年にバース退団、掛布雅之引退と85年日本一の主軸が去るなか、リーダーとしての気概がみなぎっていた。
何とも因縁深い試合だった。天覧試合(後楽園)と同じ日付、同じ5―4で決着がついた。相手の巨人監督は完投勝利をあげた藤田元司だった。
目のくまが深くなっていた村山はサヨナラ被弾の悲劇のヒーローから30年目のリベンジに「今日はうれしい。気分が全然違う」と喜びをかみしめた。
岡田は父・勇郎が有力後援者だった関係で幼い頃から猛虎の血が流れていた。明星中時代には村山引退試合(73年3月21日)を前に肩慣らしの相手を務めた。後に監督に就くと実家居間に色紙があった村山の座右の銘「道一筋」を継いだ。
「あの試合は監督時代の村山さんが喜べた数少ない夜でした」と監督付マネジャーだった野田征稔(77)が振り返る。「いろんなことがありすぎましたから」。前年88年はバース問題から球団代表の自殺、掛布や山本和行引退……などトラブルが相次いだ。
村山は天覧試合で長嶋茂雄に浴びたサヨナラ弾を終生「ファウルだ」と言い続けた。熱血と同時に悲劇のイメージがつきまとった。
「それでも村山さんはあの試合が原点だと糧にされていました。ご覧いただいた陛下(昭和天皇)への思いも相当でした」。思い出すのは88年9月29日だ。東京の定宿、サテライトホテル後楽園で早朝、村山から「行くぞ」と声をかけられた。昭和天皇が10日前に吐血されご重体が伝わっていた。出向いたのは皇居坂下門。午前9時開始を前に約400人の列に並び、病気平癒の記帳を行った。
当時、村山は自ら名づけた和田豊ら「少年隊」や若手の早出特打で打撃投手を務めていた。股関節の痛みをおして投げた。世代交代のはざまにあった。
岡田満塁弾を呼んだ走者は24歳の八木裕、プロ初先発の亀山努、和田のいずれも単打で出た3人。村山は昭和の因縁よりも平成の若手成長を喜んでいた。
89年1月7日の崩御で昭和は終わった。村山は98年、61歳で逝った。「昭和の最後と平成の最初に監督をされた。村山さんは昭和の魂を持ったスターでした」。野田は懐かしむように言った。=敬称略= (内田 雅也)
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