【スポニチ潜入(11)】大商大・吉川 猛虎と猛牛相手に実力証明 雌伏雄飛を期す最速149キロ右腕
2020年04月27日 10:00
野球
過去3年の大学野球生活では結果に恵まれていないが、大きな可能性を秘めた「ダイヤの原石」と言える。開星(島根)ではエースとして3年時の16年選抜大会に出場。八戸学院光星(青森)との初戦に先発し8回6失点で敗れたものの、当時からドラフト候補に挙がった逸材だった。好投手が揃う大商大でも1年春にリーグ戦デビュー。昨年まで3年もの間、白星に恵まれなかったことが、不思議にさえ思える。大学ラストイヤーには最高峰の舞台を目指す上で唯一、足りない要素「結果」を追い求める。
ドラフト解禁年。目標を問うと「日本一になるということしか考えていないです」と言い切る。悲願を達成するため、3年秋のリーグ戦終了後から「持ち味」に磨きを掛けた。
「自分では(持ち味は)真っすぐと思っています。オフは、打者が(真っすぐと)分かっていても当たらない真っすぐを目指してきた」
オフ期間の投球練習では、通常とは逆のマウンド傾斜から通常よりも遠い約25メートル先で構える捕手を目がけてボールを投じる「のぼりのピッチング」というメニューに取り組み、体とボールに切れを追い求めてきた。磨き上げた直球の投球回転数は、NPB平均値2200~2300回転を上回る最高2450回転を誇る。
「本当に厳しい中での練習になるので、メンタル部分でも技術的な部分でも、とても追い込まれて練習ができているので、心身ともに成長できていると実感できています」
リーグ戦未勝利のまま過ごした昨年までの3年間。毎年のようにプロ選手を輩出する強豪大学に入ったことで、なかなか台頭のチャンスをつかむことができなかった半面、雌伏の時間を活用して心身両面を鍛えることができた。身体面は大学入学直前に68キロだった体重を、80キロ以上まで増やした。黙々とトレーニングに励んだ結果だ。内面でも1学年上の橋本侑樹(現中日)、大西広樹(現ヤクルト)ら好投手たちと身近に接したことで、プロに行く投手の考え、意識、行動を学び、刺激を受けた。
プロ相手に実力も証明済みだ。今年3月5日には阪神とのプロアマ交流戦(鳴尾浜)に先発し大山悠輔、高山俊らレギュラークラスも並んだ打線相手に5回2安打無失点。最速146キロを計測した直球にカーブを織り交ぜて緩急を操り、強打者たちを手玉に取った。さらに3月20日にはオリックス2軍とのプロアマ交流戦(オセアンBS)にも先発し、被安打6、与四球4とたびたび走者を背負いながらも要所を締め、完封勝利を飾った。プロ入りへ向け、これ以上ないアピールに成功した格好だ。
そんな吉川の気になる希望進路は……今はまだ頭にないという。「このチームで日本一になって、その先というのは監督さんもよく言われることなんですが、“4年間、頑張ったご褒美”と。まずは大商大で日本一を取りたいという気持ちしかありません」。今は目の前の目標に向かって全力投球。それが、その先の道しるべとなると信じている。(大阪報道部・惟任 貴信)
◆吉川 貴大(よしかわ・たかひろ)1998(平10)年7月27日生まれ、島根県松江市出身。開星では3年春に甲子園出場。50メートル走6秒0、遠投120メートル。1メートル82、83キロ。右投げ右打ち。
※ 本記事の動画は「スポニチチャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCCDmd01WsuFBF8n3yMjHQ1A)において27日正午頃、公開予定。次回は5月4日公開予定です。(記事、動画の内容は新型コロナウイルス感染拡大により、各チームが活動自粛に入る以前に取材したものです)
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