【内田雅也の追球】達成者の前に挑戦者であれ――阪神2003年の「M点灯」記念日に思う
2020年07月09日 08:00
野球
今季の阪神本拠地開幕戦はまたも降雨中止である。阪神としては先の広島も含め、3日連続の中止だった。
記念日だった。7月8日を覚えている。2003年、早々と優勝へのマジックナンバーが点灯した日だった。監督・星野仙一の故郷、岡山・倉敷での広島戦だった。
星野は著書『闘将日記』(実業之日本社)で7月8日に<M点灯! でも“秒読み”と思ったら大間違い>と手綱を締めている。<応援の旗だと思って、これまで通りひと試合、ひと試合集中していくだけ>。
そして「夢に日付を入れることができた」と9月15日、優勝を成し遂げた。祝勝会で着たTシャツには「Achievers」とあった。「達成者たち」という意味だ。それも懸命に努力して成し遂げた者をいう。
この「達成」について、1953―69年、米最高裁判所長官を務めたアール・ウォーレンが語った有名な言葉がある。
「私はいつも、新聞をスポーツ面から読み始める。そこには人間が成し遂げたことが記録されているからだ。1面に載っているのは、人間がしでかした過ちばかりだ」
ウォーレンはきょう9日が命日だ。74年、83歳で没した。葬儀はワシントン大聖堂で執り行われ、遺体はアーリントン国立墓地に埋葬された。言う通り、達成者たちの物語は確かに美しく、心地よい。
スポーツ紙の野球記者として書くのも気恥ずかしいが、スポーツ記事は「なぜ達成できたのか」という過程を描くことが肝要だ。達成とは過去の業績を示す言葉である。
今はそこに至るまでの過程にある。ならば、達成者となるために挑戦者でありたい。
「過去は変えられないが、未来は変えられる」という言葉がある。自粛期間中に観た青春映画『ウォールフラワー』で、主人公の男子高校生チャーリーが精神科医から聞かされた言葉でもある。先輩や友人たちの助けを得て、辛く苦い過去から立ち直る。
阪神監督・矢野燿大も使う言葉である。愛読書と聞いた喜多川泰の『運転者』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)も副題は『未来を変える過去からの使者』だ。
同じ喜多川の『上京物語』(同)で<誰よりも多くの成功を手にした人は、誰よりもたくさん挑戦し、誰よりもたくさん失敗を経験してきた人>とある。
開幕から4勝10敗と失敗も多く経験して、今がある。今、挑戦をやめては成功も達成もない。未来の達成者になるために、挑戦するわけである。
そう、スローガン「ネバー、ネバー、ネバー、サレンダー!」(決して、決して、決して、あきらめるな!)、略して「ネバサレ」の挑戦者精神で突っ走った、あの03年のように。=敬称略=(編集委員)
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