ハナマウイ、創部2年目で都市対抗出場 無名の道産子スラッガーが挑む夢舞台

2020年11月17日 05:30

野球

ハナマウイ、創部2年目で都市対抗出場 無名の道産子スラッガーが挑む夢舞台
ハナマウイ・大友 Photo By スポニチ
 無名の道産子スラッガーが夢舞台に立つ。22日に東京ドームで開幕する第91回都市対抗野球大会に、史上最速となる創部2年目でハナマウイ(千葉県富里市)が出場し、26日に四国銀行と初戦を戦う。新興チームの「3番・中堅」を担う大友潤外野手(24)は、札幌第一時代に一度もベンチ入りできなかった経歴の持ち主。挫折を力に変えながら、社会人野球の最高峰へとたどり着いた歩みに迫る。
 人生は何が起こるか分からない。夢を追い続ければ、可能性は広がっている。10月7日。歓喜の輪に加わった大友は人生最高の瞬間を堪能していた。

 「うれしすぎて、何がなんだか分からなかった。全国につながる大会。やっと日の目を浴びることができる」

 南関東2次予選第3代表決定戦で、YBC柏を8―0で下した。自身も右前適時打を放った。過去を振り返れば、夢のような出来事だ。都市対抗に出場する選手といえば、野球エリートばかり。ところが、大友は高校時代は「ベンチに一度も入ったことがない」と明かす。

 甲子園春夏計6出場を誇る札幌第一に一般受験で入学。「単純にヘタだった。1メートル71、65キロぐらいで、体も細かった」。それでも、野球を諦めなかった。卒業後に転機は訪れた。1浪して入学した群馬の高崎経大はどこにでもある地方の国公立らしく、1学年10人前後と部員も少なかった。現在、関甲新学生2部のチームだが、大友にとっては好環境だった。

 「練習も強制されない。自主性がないと成長できない。強い大学だったら寮生活して、やることをこなすだけになった」

 アパートで一人暮らし。自分でトレーニングメニューを考え、食事の栄養も自ら管理した。「全てを数値化して、成長できるとうれしかった」。体は1メートル76、80キロと大きくなり、2年春から外野レギュラーを獲得。50メートル5秒9。遠投115メートルに加え、リーグ戦通算10本塁打を放った。

 「高校で挫折したことがよかった。中途半端に試合に出られていれば、野球を続けなかったかもしれない」。心が折れそうになると、試合に出られなかった高校時代を思い出して“初心”に戻った。

 3年秋のリーグ戦でプロ野球の球宴でも使用されたハードオフエコスタジアム新潟でバックスクリーンへ130メートル弾を放った。これを見ていたプロのスカウトが称賛していたと聞き、「社会人、プロで野球をやりたい」と意欲は増した。

 現在は東京都内の介護事業所に週4日フルタイムで勤務しながら、週3日を全体練習に充てる。強豪チームに比べて恵まれているわけではないが、「環境に文句を言っても仕方ない」と前向きだ。練習日以外は仕事後に自主練習を行う。「自分で考えて、仮説を立て、実践して、次に生かす」と大学時代の習慣は今も変わらない。

 「自分の高校、大学時代と同じような境遇にいる人も、諦めないでやれば、いいことが待っているかもしれない」。社会人野球の祭典で、大友はそんなメッセージを残したいと考えている。(横市 勇)

 ○…大友にとって高崎経大・谷口弘典監督(46)との出会いも大きかった。「どんなミスをしても怒らなかった。だから、ミスを怖がることなくできた」と振り返る。同監督は札幌西から高崎経大に進み、卒業後は元巨人でドジャースなどでメジャー通算314本塁打をマークしたレジー・スミス氏に誘われて米国でプレーした経歴を持つ。帰国後はロッテでブルペン捕手なども歴任し、大友が社会人でプレーを続けることを後押しした。

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