【内田雅也の追球】大河の一滴と新春の光 甲子園球場の初日の出に大歓声の戻る日願う
2021年01月03日 11:00
野球
![【内田雅也の追球】大河の一滴と新春の光 甲子園球場の初日の出に大歓声の戻る日願う](/baseball/news/2021/01/03/jpeg/20210103s00001173185000p_view.jpg)
そんな永遠を意味する水と生命の物語は、日が昇り、沈み、また昇る太陽の物語でもある。
今年もまた、甲子園球場で初日の出を拝んだ。1月1日、午前7時15分、光は三塁側アルプススタンドと左翼スタンドの間から差し込んだ。紫色だった場内が赤く、初茜(はつあかね)に染まっていった。西の空には丸い月が浮かんでいた。
五木の書は1998年発行だが、いまに通じる哲学がある。衛生学による感染症制圧に疑問を投げかけ<新種の、われわれの目に見えないウイルス(中略)が出現>と新型コロナウイルス拡大の世を予告している。
先の見えない不安な時代である。<大河の水は、ときに澄み、ときに濁る。(中略)ただ怒ったり嘆いたりして日を送るのは、はたしてどうなのか。なにか少しでもできることをするしかないのではあるまいか>。
泣くのはいいが、泣き言は言わない。現状を受けいれ、前を向きたい。
昨年12月で85歳を迎えた阪神タイガースもまた、永遠の存在でありたい。監督を務めた吉田義男や岡田彰布らがよく「長いタイガースの歴史にあって、自分が選手や監督であったことなど歴史の一コマでしかない」と話していた。伝統を引き継ぐ現監督・矢野燿大もまた同じことを思っているだろう。長い時間の流れのなかでは監督も選手も小さな存在でしかない。
しかし、大河の一滴同様、それぞれが永遠のなかの貴重な存在なのだ。
無人の甲子園球場を前に、超満員のスタンドと大歓声が戻る日を祈り、願った。新春の光が場内を覆い、雲の間から青空が見えた。 =敬称略= (編集委員)
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