マット・ハービー 心のどこかで期待する「ダークナイト・ライジング」
2021年02月15日 08:30
野球
13年開幕からメジャーに定着したハービーは、この年の4月は4勝0敗、防御率1・56。フォーシーム、スライダーを中心とする豪快な投球と甘いマスクはスター性たっぷりだった。メッツの本拠地シティ・フィールドで開催された同年のオールスター戦で先発を務めると、スポーツ・イラストレーテッド誌から人気映画にちなんだ「ダークナイト」という愛称まで与えられた。
翌14年こそトミー・ジョン手術で全休したものの、15年には13勝と復活してメッツのワールドシリーズ進出に貢献。この年のプレーオフ進出が確実になった頃、スコット・ボラス代理人が手術明けのハービーにイニング制限を課すべきだと提言し、地元が大騒ぎになったこともある。当時、登板日は全て一大イベント。ニューヨークではアレックス・ロドリゲスとならぶ風雲児だったのだ。
早い時期から成功を味わったことが慢心につながったのだろうか。ひたむきさを失い、輝きは急速に薄れていった。16年以降は故障と不振を繰り返し、17年には朝まで飲み明かした上で球場に現れないという「行方不明事件」まで起こす始末。おかげで球団からも見切りをつけられ、18年についにメッツから放出された。
ただ…多くのニューヨーカーの心の中で、ハービーの記憶は生き続けている。
「私も一時期はかなり期待したピッチャーでした」
一昨年までアスレチックス、ロッキーズ、メッツ、ブレーブスのマッサージ・セラピストとして活躍し、今春、引退を決意した西尾嘉洋さんがしみじみとそう語っていたことがあった。マリアノ・リベラ、ジェーコブ・デグロムのような名投手をもマッサージの腕でとりこにした西尾さんにとっても、メッツ時代に何度も体を触ったハービーは特別な投手の一人だったという。
スターになってからのハービーは地元メディアによそよそしくなったが、西尾さんと懇意にしていた影響か、「ヨシはマイ・ガイ(自分のお気に入り)だから」と筆者には比較的愛想良く接してくれた記憶がある。最終的にはその扱いに手を焼いたニューヨークメディアも、結局、愛着は最後まで薄れなかったように思えた。
時は流れ、ハービーももう31歳。層の薄いオリオールズでは先発の機会を得るかもしれないが、以前のように支配的な姿を見せるのを想像するのは難しくなった。それでも、同じア・リーグ東地区のヤンキース戦でニューヨークで投げるようなことがあれば、いまだに大きな注目を集めるかもしれない。みんな、いまだに心のどこかで「ダークナイト・ライジング(復活)」を期待している。全盛期のハービーは、それだけ魅力のある投手だったということだろう。(記者コラム・杉浦大介通信員)
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