清原和博氏、球児にエール「甲子園は君のためにある」 10日2年ぶりの夏が開幕

2021年08月10日 05:30

野球

清原和博氏、球児にエール「甲子園は君のためにある」 10日2年ぶりの夏が開幕
「甲子園は君のためにある」と書いた色紙を手にする清原和博氏 Photo By スポニチ
 第103回全国高校野球選手権はきょう10日、甲子園球場で開幕する。昨年の第102回大会がコロナ禍で中止となり、2年ぶりの開催。「甲子園は清原のためにあるのか」の名フレーズも残る清原和博氏(53)が、再出発となる聖地と高校球児への熱い思いを本紙に寄せた。PL学園では65回大会だった83年の1年夏から5季連続出場し、いずれも通算最多(タイ含む)の26試合、40安打、29打点、13本塁打をマーク。甲子園のレジェンドは今、何を思うのか。
 私は高校時代、甲子園を目指し、あの舞台で勝つために努力することで成長できました。出場するたびに自分に試練を与えてくれ、それを克服するためにまた、努力を重ねる日々でした。

 初めての夏は池田高校の水野雄仁投手に4打数4三振を喫し、全国には凄い投手がいると痛感しました。2年春は岩倉高に、夏は取手二高に敗れ「一体オレたちには何が足りないんだ」と自問自答する日々でした。

 最大のショックは3年春です。伊野商業に敗れ、私は渡辺智男投手に3打数3三振。同学年のピッチャーにあそこまで完璧に抑えられるとは思いませんでした。この試合に負けた夜から「夏に悔いを残すな」がチームの合言葉となり、私はキャプテンの松山と「夏、甲子園で優勝する日までとことんバットを振ろう」と誓い、毎晩2人でバットを振り続けました。

 その時はつらく、苦しい日々でしたが、53歳の今思えば、あれほど充実した時間はなかったと思います。宇部商業との決勝戦、私が2本のホームランを打ち、松山がサヨナラ打を放ち、その努力が報われたと思いました。

 甲子園はどれだけ努力したか試されます。努力して、努力して、努力して…歯を食いしばって、涙を流して、どれだけ自分を追い込んで、自分をいじめてきたかを試される場所だと思います。

 あの打席に立った時、甲子園から「お前はどれだけ努力してきたんだ?」と問い掛けられるような気がするのです。その時、自信を持って「オレは誰よりも努力をしてきた」と答えられるように、そのために毎日を過ごしてきました。だから私は甲子園に「まぐれ」はないと思っています。他の球場でまぐれのホームランを打てたとしても、甲子園でまぐれでは打てません。

 そんな特別な場所だからこそ、中止になった昨年は残念でした。長男と同い年の3年生たちは、夢を追い掛ける機会すら奪われて、高校野球を終えてしまったのです。テレビで泣き崩れる姿を見て、私も涙が出てきました。今も「できたのではないか」という思いは消えません。

 地方大会も見ていました。選手たちが大きな声で校歌を歌えないのを見て、心が痛かったです。勝って校歌を歌うのが勝利を味わう瞬間。大きな声で歌えるようになってほしいです。甲子園も一般客は入場できず、大声での校歌斉唱もできません。でも、開催できるだけよかったと思っています。昨年の3年生の思いを胸に、全力でプレーしてほしいです。

 最後の夏。私は勝ちたいとか、打ちたいとか考えず、悔いのないバッティング、プレーを心掛けました。高校で野球をやめる選手もいれば、大学やプロで続ける選手もいるでしょう。でも、18歳の区切りであることに変わりはありません。「あの時、甲子園でプレーできてよかった」と思えるようにしてほしいです。(清原 和博)

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