森脇浩司コーチがロッテナインに植え付けた野球を学ぶという意欲

2021年11月09日 11:10

野球

森脇浩司コーチがロッテナインに植え付けた野球を学ぶという意欲
森脇浩司野手総合兼内野守備コーチ Photo By スポニチ
 【君島圭介のスポーツ人間】6日のパ・リーグCSファーストステージ初戦、3回にレアードの2点適時打で逆転してなお1死一、三塁。ロッテ・安田の放った左飛は少し浅かった。
 ところが三塁走者の中村奨は、楽天の左翼・渡辺の捕球と同時にスタート。クロスプレーの末、3点目をもぎ取った。

 打球の落下地点は定位置よりやや前。定石ならスタートは切らない位置だが、打球が高く上がった時点で中村奨の選択肢の中にタッチアップが最上位になった。ZOZOマリンスタジアムは左翼上空でやっかいな風の影響を受ける。渡辺は打球が流れる不測の事態に備え、早めに落下地点に入った。

 落下地点で待つことはミスを防ぐ点においては正解だ。ただ、それでは打球の後方からステップを踏んで捕球することで送球へ勢いをつける体勢は取れない。中村奨はその瞬間に自分の足と時間を計算し、GOの判断を下し、貴重な追加点を奪ってみせたのだ。

 CS開幕前日、中村奨はこう言っていた。

 「森脇さんに常日頃から言われていますが、先手先手でどんどん仕掛けていった方が有利な流れになる」

 今季から森脇浩司氏が野手総合兼内野守備コーチに就任した。輝かしい指導歴を誇る屈指の理論派だ。経験もさることながら野球に対する情熱がずば抜けている。

 「勝つことは結果でしかないんだ。状況に応じてひとつのプレーに正解を出せる選手になって欲しい。僕は野球を知って欲しいんだ」

 それが森脇コーチの指導の根底にある。ロッテの試合前練習を見ていると、気になる選手と1対1で時間をかけて話し合う姿が常にある。それはダイエー(現ソフトバンク)のコーチ時代に井口資仁、小久保裕紀、川崎宗則、鳥越裕介らに対して行っていた指導と同じだ。

 あのとき、もの凄い好返球で、中村奨がタッチアップに失敗していたとしても森脇コーチは責めなかっただろう。判断ミスではなく、それが選手が出した答えだからだ。そういう野球が出来るようになった。だからロッテが強くなった。

 CSファイナルステージは森脇コーチがかつて指揮を執ったオリックスが相手だ。安達や後藤、T―岡田ら「森脇塾」の教え子はまだ残っている。決戦に向けて、楽しみがまた増えた。(専門委員)

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