浜松開誠館が創部25年目の初出場で優勝 「まとまらなくていい」佐野監督の指示の自主性に磨き

2022年05月24日 18:56

野球

浜松開誠館が創部25年目の初出場で優勝 「まとまらなくていい」佐野監督の指示の自主性に磨き
創部25年目で東海初制覇し、歓喜の浜松開誠館ナイン。 Photo By スポニチ
 【第69回春季東海地区高校野球大会決勝   浜松開誠館7―2岐阜第一 ( 2022年5月24日    愛知・小牧市民 )】 浜松開誠館が創部25年目の初出場を優勝で締めくくった。岐阜第一との決勝は7―2の快勝だ。公式戦初先発の主将で最速143キロ右腕・静内龍之介(3年)が、6回0/3を3安打2失点と好投。打線も9番・森大侑三塁手(3年)が、左前適時打含む3安打の活躍で投手陣を援護した。個の力を磨いてつかんだ静岡県大会に続く東海制覇。大目標の夏甲子園へ、自信と手応えをつかんだ。なお、県勢は昨春の掛川西、昨秋の日大三島に続き東海大会3連覇を飾った。
 一喜一憂する選手は誰1人いなかった。梅雨入り前に広がった青空の下、淡々とゲームを支配。県大会初制覇同様、舞台を愛知に移してもそのスタンスは変わらなかった。さすがに記念撮影時には笑顔が満開。優勝旗を手に主将の静内は「結果創部初だしうれしい。心の中では喜びました」と声を弾ませた。

 全て夏への試走だ。佐野心監督(55)が「公式戦で一度先発を試したかった」と救援中心のリーダーをマウンドに送った。自慢の直球に加え「1週間前に練習を始めた」というチェンジアップの握りをアレンジしたフォークがさえた。7回途中6三振を奪う3安打1死球2失点は上々の内容。9安打7得点と味方の援護を引き出す快投に、指揮官も「あそこまで投げるとは思わなかった」とうれしい悲鳴を上げた。

 自分本位の取り組み方が、展開に左右されないチームの対応力につながった。愛工大名電(愛知)との1回戦はロースコアの接戦をものにし、津商(三重)との準決勝は3点を先行された直後に集中打で一気に逆転した。コロナ禍で全体練習が思うようにできず、グループ練習がメーンだった時期のこと。「少人数の方が雰囲気が良かった」と実感した佐野監督が、高校野球のセオリーを覆す「チームのことはこっちでやる。まとまらなくていいから自分のことだけ考えろ」と指示し、ナインを驚かせた。

 3安打1打点とバットで活躍した森三塁手は「個人の考えで練習してきたことが勝ちにつながりました」と胸を張り、静内も「チームワークなんて誰も考えていません。一人一人が自分のやるべきことを全うすれば、結果まとまるんです」と笑った。凄いチームが現れた。浜松開誠館の強さは本物だ。(小澤 秀人)

 ≪佐野監督08年夏の甲子園準V「あの時と互角のレベル」≫佐野監督は常葉菊川(現常葉大菊川)時代の08年夏の甲子園で準優勝している。当時はエース左腕・戸狩聡希投手や名手・町田友潤二塁手といったスター軍団。あれから14年が過ぎたが「あの時と互角のレベルに来ている感じがします」と即答し「メンタリティーやフィジカル面は持ち始めた」と続けた。選手は静内や斎藤健介捕手(3年)を中心に自発的に支持の声を出し、森のように1回戦で犠打失敗による併殺打で交代させた選手が改めて躍動。収穫だらけの春に「1試合でも1イニングでも長く見ていたい」と目を細めた。

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