【内田雅也の追球】挑むは“86年ぶり”連覇

2024年01月06日 08:00

野球

【内田雅也の追球】挑むは“86年ぶり”連覇
昨年11月20日、日本一のパネルを取り付ける作業員。パネルは2リーグ制優勝の6枚目だった Photo By スポニチ
 タイガースの連覇を祝う球団主催の祝勝会は大阪・北新地の料亭「本みやけ」で開かれた。1938(昭和13)年12月のことである。初代主将・松木謙治郎が著した『タイガースの生いたち』(恒文社)に<黄金時代到来とばかり球団はもとより、松方(正雄)会長や親会社役員もともに喜ばれ――>とある。
 1リーグ時代の話である。今のプロ野球が始まった36年は巨人が優勝。37年と38年は春秋2期制でタイガースは年度優勝決定戦(7戦4勝制)で2年続けて巨人を破り、日本一に輝いている。

 つまり、昨年優勝の阪神が今年挑む連覇は、この38年以来、86年ぶり2度目ということになる。

 ところが、一般には50年の2リーグ分立以降に限っての見方が強く、「史上初の連覇へ」といった記事まで見かける。1リーグ時代を無視しているかのようで、違和感を抱いていた。

 思えば、昨年9月14日のリーグ優勝時、監督・岡田彰布が宙に舞った胴上げ回数は6回だった。

 本拠地・甲子園球場のバックネット裏に掲げられている優勝年度を示すパネル(球団内で「Vロゴ」と通称)は「1962」「1964」「1985」「2003」「2005」、そして昨年11月20日に取り付けた「2023」と6枚である。

 ここに1リーグ時代の優勝を示す「1937」「1938」「1944」「1947」の4枚も掲げるべきではないか。

 今年は1924(大正13)年建設の甲子園球場が誕生して100年を迎える。阪神は電鉄本社、球団、球場が一体となり、各種イベントを行っている。歴史や伝統を重んじる姿勢は評価したい。ならば余計に1リーグ時代の歴史も刻みたい。

 大リーグが今の2リーグとなったのは1903年。1リーグ時代から続くドジャース、カージナルスなど8球団は「クラシックエイト」と呼ばれる。各本拠地球場には甲子園のような「Vロゴ」があり、たとえばパイレーツのPNCパークには「1901」「1902」が掲げられている。

 日本のプロ野球で言えば、初年度から参加するのは巨人、阪神、中日の3球団。いわば「クラシックスリー」である。

 5日は球団年賀式に出向いた。元日就任の球団社長・粟井一夫の年頭あいさつで連覇への強い思いを聞いた。甲子園100年を祝い、86年ぶり連覇を祝う年でありたいと願った。 =敬称略= (編集委員)

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