【DeNA】守備固めの底力 蝦名は一瞬打球を見失った!スポニチ独自、日本一秘話連載第2回

2024年11月07日 12:00

野球

【DeNA】守備固めの底力 蝦名は一瞬打球を見失った!スポニチ独自、日本一秘話連載第2回
DeNAの蝦名 Photo By スポニチ
 DeNAが98年以来26年ぶりの「日本一」を達成。3位から頂点に昇りつめた「成り上がり」のシーズンを、スポーツニッポン担当記者は1年を通し見届けた。その舞台裏にはシーズン中に明かせなかった多くの秘話がある。ここでは、独自取材の秘話を5回連載で紹介する。第2回はシーズン佳境、打球を見失っても必死にプレーした蝦名達夫外野手(27)の守備固め秘話。(構成、スポニチDeNA担当・大木 穂高)
 大観衆4万2501人のボルテージは、最高潮に達していた。9月11日、対阪神20回戦。4―3の緊迫した戦いは最終回に阪神が反撃。2死二塁で1番・近本が打席に入った。

 マウンドは守護神・森原。異様な雰囲気で揺れる甲子園。その中、近本がフォークを流し打つと、ライナー性の打球は左翼手・蝦名のグラブに収まった。8回から先発佐野に代わり守備固めで起用されていた。DeNAナインのハイタッチ。勝利時のいつもの光景の中に背番号61もいた。

 だが翌日の試合前、蝦名に話を聞き記者は背筋が凍った。「最後のフライ、打球見失なってたんっすよ」。このとき、DeNAは3位阪神と2ゲーム差の4位。CS進出をかけた「負けられない戦い」直接対決だった。

 もし、この場面で蝦名が打球を見失ったポーズをし、白球がフェンスに向け転々としていたら…。甲子園は大熱狂。チームの勢いは失われたかもしれない。左翼手は集中力を研ぎ澄まし、腰を低くして捕球。映像ではその「事件」を感じないところがまた凄い。

 守備固め。守備力が高い選手の役割。とはいえ選手、守備コーチに聞けば「最初のアウトを取るまでは緊張する」と返事がくる。蝦名も「守って当然と思われる分、緊張する」と言った。

 甲子園の照明灯は、内野側は銀傘上に横に「細く長く」並ぶ。つまり、外野への飛球は打球と照明が重なる時間が短い一方、打球を「消す」橫幅は広い。近本の打球も一瞬照明に消された。その時間を蝦名は長く感じた。

 走攻守でポテンシャルの高い27歳は、過去に守備のミスでファンから批判されたことがある。自身も知っている。それでも、シーズン佳境に守備固めで起用されることは、その実力を証明している。

 照明、風、スタンドの雰囲気。瞬時に察知し対応力が求められる守備固めの「苦労」を知っておきたい。ちなみにこのとき蝦名は初の打球処理だった。打球を見失いながら…。

 その日宿舎でその事実を知った森原は、「マジ?おいおい、頼むよ」と笑顔で蝦名の肩を叩いたという。オフだから明かせる「ほんとにあった怖い話」である。(第2回終了)

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