尚弥V4 来い!ロマゴン!“最強王者”とビッグマッチへ最高の弾み
2016年12月31日 05:30
格闘技
ジャブで突き放し、左ボディーや右アッパーで強固なガードをこじ開けた。河野が前へ出てくるとガードを固め、カウンターを決めた。「(相手は)ああいう出方しかないと思っていた。誘いながら左を合わせるイメージがフィットした」。5月のV2戦は試合中に拳を負傷して判定勝ち。10回KO勝ちした9月のV3戦も約3週間前に疲労性の腰痛を発症し、本来の動きができなかった。それだけに、本来の力を発揮した内容に「すっきり終われたし、どこも痛めなかったのは良かった」と笑顔がのぞいた。
V3戦では父子の間に亀裂が入りかけた。本人から「腰は大丈夫」と聞かされていた父・真吾トレーナーは、試合内容に憤慨した。「指示どおりに動けないし、いい練習ができていたのに否定された気がした」。息子の待つリングに上がらず、会見出席も拒否。「誰ともボクシングの話をしたくない」と連絡を絶って“家出”すると、車中で2日間寝泊まりした。トレーナーを辞めることも考えたという。「試合中に話しても周りが慌てるだけと思った」という井上尚は試合後、ローマン・ゴンサレスを視察するために渡米。帰国すると「話さないと前へ進まない」と実家へ直行。お互いの気持ちが空回りしていたことを確認し、再び二人三脚で歩みだした。
2人で話し合い、今回から調整法を変えた。試合前に120ラウンド消化していたスパーリングを約60ラウンドに半減。その分、1ラウンドごとに父が課した課題に取り組むなど「量より質」を重視した。試合後は60キロ台に増えていた体重も普段から57〜58キロに抑え、減量に苦しまない調整が可能となった。真吾トレーナーは接近戦での体のぶれを課題に挙げながら、「練習どおりのことは大半やってくれた。体の切れも良かった」と満足感を示した。
来年には全階級を通じて最強と評される“ロマゴン”との対決を計画する。「自分はできるのであればやっていきたい。あとは体重とタイミング(の問題)」。停滞を抜け出した井上尚に、重要な一年がやって来る。
◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川県座間市生まれの23歳。新磯(現・相模原青陵)高で高校7冠などアマ81戦75勝6敗。12年10月プロデビュー。13年8月、国内最短タイの4戦目で日本ライトフライ級王者。同年12月、東洋太平洋同級王者。14年4月、WBC同級王者エルナンデス(メキシコ)に6回TKO勝ちして当時国内最短の6戦目で世界王者(防衛1)。14年12月、WBOスーパーフライ級王者ナルバエス(アルゼンチン)に2回KO勝ちで当時世界最速の8戦目で2階級制覇。身長1メートル64、リーチ1メートル72の右ボクサーファイター。
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