タオル投入早すぎる!山中 涙の陥落…4回TKOでV13夢散
2017年08月16日 05:30
格闘技
帝拳ジムの本田明彦会長の怒りは収まらなかった。「何をやっているんだ。最悪だ。しのいで後半勝負だったのに」。タオルは陣営に確認しないままの行動で、「個人的な感情が入った。魔が差したのか」とも話した。山中も「自分的には大丈夫だった。効いていなかったし、まだまだやれた」と振り返ったが、「セコンドを心配させてしまったのが(タオルの)一つの原因」と認めた。
序盤からジャブは鋭く、左も何度かヒットした。しかし、2回終盤から打ち終わりを狙われて大振りの左を受け始め、相手の得意な中間距離で打ち合ってしまった。ロープ際でも上体を振り、左を当てようとしたが、被弾ばかり増える展開ではトレーナーが動揺するのも無理はなかった。
長谷川穂積も内山高志も届かなかった「V13」の高み。年齢を重ねても巧みなコンディション調整に定評があり、“神の左”という逆転の武器を持つ山中をもってしても「具志堅超え」はかなわなかった。具志堅氏が36年前にV14に失敗し、王座から陥落したのは地元・沖縄。山中も故郷・滋賀の隣で、高校時代にボクシングを始めた京都が舞台というのが何とも皮肉だった。
12年前、帝拳ジムに入門してきた痩せっぽちのボクサーは破壊力のある左を持ちながら力を持て余していた。プロ8戦目まで6勝2分けでKOはわずか2試合。そこから大和トレーナーとの二人三脚で技術的にも精神的にも一皮むけ、世界王座に就いて12度の防衛も成し遂げた。だが、一回り年下の相手に敗れた事実は34歳に重くのしかかる。本田会長は去就について「本人次第」と話した。
「これだけ多くの方が応援してくれたのに期待に応えられなかった。申し訳ない気持ちでいっぱい」。控室で山中は涙を流し、今後を問われ「とりあえず考えられない。試合のことでいっぱい」と途切れがちに答えた。
◆山中 慎介(やまなか・しんすけ)1982年(昭57)10月11日、滋賀県湖南市生まれの34歳。南京都高(現京都広学館高)でボクシングを始め、専大では主将。インターハイ2位、国体優勝などアマ通算34勝(10KO・RSC)13敗。06年1月プロデビュー。10年6月、日本バンタム級王座獲得(防衛1)。11年11月、王座決定戦で11回TKO勝ちしてWBC世界同級王座獲得。身長1メートル70、リーチ1メートル74の左ボクサーパンチャー。家族は沙也乃夫人(32)、長男・豪祐くん(4)、長女・梨理乃ちゃん(2)。