木村、“第二のホーム”で完勝V2 中国で日本人初に防衛成功
2018年07月28日 05:30
格闘技
昨年7月、敵地で五輪2連覇の中国の英雄・鄒市明(ゾウシミン)を倒す大金星で王座を奪取。敗者を気遣う態度やビールだるを運ぶアルバイトの映像が話題となり、中国での人気が爆発した。「雑草拳王」「草根拳王」と呼ばれ、都内のジムにはサインや写真撮影を求める中国人観光客が週に約100人も押しかけるほど。現地入り後も地元選手並みの注目を集めた木村は「日本人王者として中国の地で初めて防衛できたことを誇りに思う」と“第二のホーム”での勝利を喜んだ。
V2戦は木村のオプション(興行権)を持つ鄒市明サイドの了解を得られず、決定が遅れた。対戦相手が内定したのは1カ月前で、会場も変更。準備不足は否めなかったが、2連続KO防衛で実力を示した。V3戦は世界最速タイ記録のプロ12戦目での3階級制覇を目指す田中との激突が濃厚で、試合後は控室を訪れた田中と握手。バイトをやめ、家賃5万円のアパートから同15万円の高層マンションに引っ越しても「まだ強くなれるし、有名になりたい」と貪欲な雑草王者が、さらなる強敵に立ち向かう。
▼サルダール 木村のパンチは強くて、重かった。なすすべがなかった。
▼青木ジム有吉将之会長 こんなに早く倒せるとは思わなかった。最初からボディー(攻撃)しか考えていなかった。予定より早く効いた。試合が決まらない中でちゃんと練習して、感謝しかない。
【データ】海外防衛に成功した日本人世界王者は木村で8人、10例目。西岡利晃は09年に敵地メキシコ、11年には米国でWBCスーパーバンタム級王座を防衛。亀田和毅は14年に米国で2度、WBOバンタム級王座を防衛した。他に渡辺二郎、三浦隆司、亀田興毅、河野公平、井上尚弥が各1度防衛に成功。海外での王座奪取と防衛、両方成功したのは亀田和に続き日本人で2人目となった。
◆木村 翔(きむら・しょう)1988年(昭63)11月24日生まれ、埼玉県熊谷市出身の29歳。中3時にボクシングを始め、本庄北高でインターハイ出場も1年で退部。23歳で競技を再開し、13年4月にプロデビューも1回KO負け。16年11月、WBOアジア・パシフィック・フライ級王座獲得。17年7月、五輪2連覇の鄒市明(中国)に11回TKO勝ちしてWBO同級王座獲得。同年12月、五十嵐俊幸(帝拳)に9回TKO勝ちで初防衛。身長1メートル65の右ファイター。