拳四朗VS京口 近い将来の王座統一戦を期待させた「公開ガチスパー」
2018年12月15日 11:30
格闘技
プロボクシングの興行は、選手との触れ合いイベントやアトラクションの実施など、他競技が力を入れているファンサービスの面で後れを取っている。世界戦になるとテレビ中継の都合で1時間近く試合の間隔が空き、観客がひたすら待たされることもある。他の格闘技に比べて華やかな演出もなく、プラスアルファの楽しみがあまりにも少ない。だが、今回の興行に急きょ組み込まれた公開スパーは、入場料以上の“お得感”があった。ジャブからの連打で徐々に空間を支配していく拳四朗の凄み。最近まで最軽量級だったとは思えない京口の強烈なプレスとパワーパンチ。リングと観客席が近い後楽園だけに、なぜ彼らが世界トップクラスにいるのかを実感できたはずだ。
年末に拳四朗がV5を達成し、ライトフライ級に上げた京口がWBA王座を獲得すれば、近い将来の王座統一戦も期待できる。2ラウンド目に京口の出足を止めて主導権を握った拳四朗がKOモードに移行したらどうなるのか、京口が1ラウンド目に拳四朗のバランスを崩させた左ボディーを打てる位置に入ったら…など、“本番”を想像しながら見るのも面白かった。もちろん、両者とも目の前の試合に集中してはいるが、「年末、2人とも勝って来年にできれば」(拳四朗)、「王者同士で最高の舞台でやろうと思う」(京口)と統一戦には前向きだ。どちらかがピークを過ぎた状態での対戦ではなく、まだまだ右肩上がりの26歳と25歳。気が早すぎると言われようが、この日本人対決を実現させることが、ファンサービスの充実とともに来年のボクシング界に与えられた課題の1つと感じた。(専門委員・中出 健太郎)