【WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦 〇王者・田中恒成 判定3―0 同級4位・田口良一● ( 2019年3月16日 岐阜メモリアルセンター )】
最後は精根尽き果てた。12回のラスト10秒の激しい打ち合いの後、田口はもたれ掛かるように田中に抱きつき、終了のゴングを聞いた。控室に戻っても体調不良を訴え、すぐに取材に応じられなかったほど。全身に疲労感を漂わせながら「実力が不足していました」と声を絞り出した。
序盤は互角以上の闘いを演じ、3回には右フックで田中をぐらつかせる場面もあったが、本来は終盤に強さを発揮する男が4回以降は失速。「気持ちでは負けないと思っていたけど、田中選手も気持ちがにじみ出ていた。自分のボクシングをさせてもらえなかった」と完敗を認めた。
昨年5月に約3年5カ月在位した王座から陥落。一度は現役引退を決意しながら再起を決めた田口は“変化”を求めて担当トレーナーを変更し、自身のボクシングを再構築した。「少し成長を見せられたし、もったいないという思いはある」とし、今後については「今は何とも言えない」と明言を避けた。