【浜田剛史の目】尚弥の完勝劇 判断力&対応力 速さと強さの両立
2019年05月20日 08:15
格闘技
ロドリゲスも高い技術を持っていたが、今の井上はパワーとうまさを兼ね備え、相手はどちらかで明らかに上回らないと勝つのは難しい。特に井上のパンチ力は160キロの速球を投げられる投手と同様、天性のものを感じる。筋力をつけ、打ち方を工夫することでパンチ力はある程度のレベルまでいくが、通常はパワーがつけばスピードは落ちるもの。しかし、井上は元々の武器であるパンチのスピードを落とさず、階級アップに従ってパワーもつけてきた。分かりやすく言えば、短距離を走る筋肉と、長距離用の筋肉を両方持っているような状態だ。
決勝はドネアとの対戦だが、上り調子の選手と一生懸命現役を続けている選手との違いが明らかに出るのではないか。ドネアには試合をひっくり返す一発があるが、井上にはパンチ力に加えて試合をつくれる力もある。(元WBC世界スーパーライト級王者)