“戦うシングルマザー”と「ボクシングと結婚した」苦労人 人生を懸けて戦う2人の女性
2019年06月19日 08:00
格闘技
当初はシングルマザーであることを明かしていなかったが、日本タイトル獲得を機に公表し、“戦うシングルマザー”としてメディアに取り上げられるようになった。スポーツ・インストラクターとして働きながらプロボクサーとして活動、そして育児と悪戦苦闘の毎日だが、4歳になった愛娘の存在がモチベーションでもあり、心の支えにもなっている。そして「娘に人間的にも成長させてもらっている」という。
「赤ちゃんの時からジムに来ているので、ボクシングのことも理解していて、保育園で先生や友達に『ママは今度、世界戦なんだよ』って自慢しているみたい。すごく楽しみにしてくれています。私が疲れている時には『頑張ってね』って言ってくれたり、頭なでなでしてくれたり…空気を読むんです。娘にとってカッコいいママであり続けるためにも世界チャンピオンになりたい。シングルマザーの人、母だけど夢を追う人たちに良い影響を与えることができたらうれしいですね」
対戦相手のモートンはハワイ出身で、現在はサンフランシスコ在住。本人によると「孤児院で育った」そうで、父親が米国人で母親が日本人とのこと。ボクシングを始めた理由を「自分の内面の怒りを吐き出すために、神様が導いてくれた」と説明した。配偶者について問われると、笑顔で「ボクシングと結婚した」と答えた35歳は、前日計量では自ら髪の毛を約20センチ切ってリミットの52.1キロでクリア。「この試合を長年待ち焦がれていた。たくさんトレーニングもしてきた。世界王者になる夢を実現したい」と話した。
両者にとって人生の分岐点になるであろう一戦。間違いなく、技術以上に気持ちをぶつけ合う試合になる。2人のサイドストーリーに着目すれば、違う楽しみ方もできるはず。はたして勝利の女神はどちらにほほ笑むのだろうか?(大内 辰祐)