【IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦12回戦 ○同級3位・尾川堅一 判定 同級2位アジンガ・フジレ● ( 2021年11月27日 米ニューヨーク )】
【浜田剛史の目】尾川はプレスをかけて相手を下がらせるというプラン通りの試合ができた。入っていくところにフジレが右フックを引っかけてくるのは予想通りで、それで3回にバランスを崩した場面も想定内。見栄えを考えると、もう少し踏み込みを速くできれば、もっとポイントも取れていたはずだ。
フジレは待ちの状態からパンチを外したり、殺すのがうまく、序盤は尾川が空振りする場面が目立ったが、狙いを低く修正したことで5回の一発が出た。理想はそこで倒し切ってしまうことだが、ダウンを奪った後に力みや硬さから手数が減るのはよくあること。結果的に相手の回復を許してしまったが、最終12回にKOを狙いにいってKO寸前まで追い詰めたことで勝利を確実にした。
実は8月に予定されていたラヒモフ戦前に、尾川は非常に良い状態に仕上がっていた。それが延期となり一度は緊張を緩めたが、本人がやるべきことをしっかりやり、体が自然に反応するような良い状態でリングに上がることができた。世界王者になったので満点をあげてもいいが、次の試合もあるので95点にしておきます。(帝拳ジム代表、元WBC世界スーパーライト級王者)