尾川に聞く「スピード勝ちかなって感じ」「家族思うと涙が出る」「妻には本当に感謝です」

2021年11月29日 05:30

格闘技

尾川に聞く「スピード勝ちかなって感じ」「家族思うと涙が出る」「妻には本当に感謝です」
IBFスーパーフェザー級の新王者となり、感極まる尾川 Photo By ゲッティ=共同
 プロボクシングのIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦12回戦は27日(日本時間28日)、米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン・Huluシアターで行われ、同級3位の尾川堅一(33=帝拳)が同級2位アジンガ・フジレ(25=南アフリカ)に判定勝ちし、悲願の世界王座を獲得した。(ニューヨーク・杉浦大介通信員)
 【尾川に聞く】
 ――戦いを振り返って。
 「左の練習をしていて、ジャブはすごい当たりましたね。でも、やっぱり見ちゃう悪い癖だったり、跳ねる癖は相変わらずでしたけど、それがあるから強い右だったり、ジャブがあるのかなと思う。試合前に耐久力の話をしていましたけど、スピード勝ちかなって感じですね。本当に踏み込みのスピードは自信を持っているので、それが世界に通じたのはうれしいことですし、より磨いて、それ以外にも、いろいろなボクシングではできると思いました」

 ――復帰後では一番動きに切れがあった。
 「結果論ですよね。ダウンを奪ったりとか、相手との間というか、かみ合うかみ合わないですね。しっかりアピールできて、会場も盛り上がって、また呼んでもらえたらうれしいですけど」

 ――思っていた通りに動けたのか?
 「そうですね。まあ、ちょっと手数は少ないっていうのはありますけど、でもしっかりとダウンを奪うパンチだったり、強いパンチは練習でやってきたことが出たので合格ですよね。これが僕のボクシング。単発というか、連打ではないので、それが通用するかしないか。とりあえず通用したから尾川堅一を見せられたかなと」

 ――最初のダウンでフジレはかなりのダメージがあったようだが、続行したのには驚いたか?
 「もう終わってくれたらラッキーだなと思ったんですけど。自分の経験だと、ガーっていくと、やっぱりバテるのでダウンをとっても一気にはいかない想定でした。思ったよりもポイントも取れていなかったので危なかったですけど、相手は弱気になっているし、下がっていたので、だからまあしっかりと冷静だったのかなと思いますね」

 ――最初に向き合ったとき、想像と実際に違いはあったか?
 「小さかったですね。でも想像より右フックは強かったですね。それはうまくタイミングを選びましたけど、それを潜って打つというのはスパーリングでもうまくいっていたんで。あれで立ったのはフジレがすごかったと言えると思います。相当、良かったですからね」

 ――相手の右フックよりも自分の右の方が先に届くと話していたが、実際にその通りになった。
 「想定通りです。だから途中で右ストレートを思い切り打ち抜いたこともあったし、右ボディーストレートも想定通りですね。一気に踏み込んで、まあスピード勝ちですね」

 ――最終回、最後、カウンターが怖いところで、それでも攻めて2度のダウンを奪った。
 「(セコンドに)行け行け言われたので。うるせーなと思いながら。でも、ポイントを聞いたら行ってよかったと思いますし、倒してよかった」

 ――マディソン・スクエア・ガーデンで世界ベルトを手にした気持ちは?
 「高橋(竜平)選手が負けてしまって僕が2人目。日本人初の1勝できたことは大きいですし、今後、また呼んでもらえたらここでやりたいですし、日本人選手、後輩たち、ここでみんなで戦えれるように日本人は強いんだっていうのを見せていきたいと思うので」

 ――リング上でも言葉を詰まらせていた。
 「家族のことを思うと…本当に情けないですけど、苦労させたんで。子供たちって言ってますけど、一番は妻ですよ。悲しい思いをさせて。家族のことを思うと、涙が出ちゃいますよね」

 ――また米国で挑戦できた。
 「これも必然かなと思いますね、運命かなと思いますね。僕の階級は日本ではチャンスは少ないですし。人生をかけて来て、リング上でも『人生かかっているんだ』ってハッパをかけてもらって、ちょっと冷静すぎたですけどね」

 ――試合ができない時期に心が折れそうになったことは?
 「折れてますよ。やめたかったですもん。やっぱそれは妻と家族、子供たち。俺はそこで辞めるって言ってたんですけど。本当にサスペンド中は無収入ですし、全部の貯金も出して、何もない状態にしちゃったので、これからっていうかね、苦労かけた分は取り戻したいなっていうのはあって、やっぱり妻には本当に感謝です」

 ――息子さんも喜んでいたのでは。
 「理解しているし、喜んでいますよ。長男は昨夜、緊張して眠れなかったそうです」

 ――4年前と時と同じベルトを獲った。
 「こだわりは強いですね。IBFは帝拳初っていうのもそうですし。一番最初に自分が手にしたのもこのベルトなので。いろんな団体でランキングに入っていたんですけど、やっぱり本田会長もそう思っていてくれたと思うし、本当ありがたいですし、、ずっと言っていた結果で恩返しができて本当に良かったです。ホッとしています」

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