元日本2階級制覇王者・黒田雅之が引退表明 井上尚弥とのスパーで左肘の腱を断裂 介護の道へ
2022年06月16日 19:22
格闘技
12年7月には井上尚弥のプロテストの相手も務めていた。20年10月は弟・井上拓真(大橋)とのスパーリングをした際に肘の不調を覚え、約1週間空けて「違和感はあるがいけるだろう」と臨んだ井上尚弥とのスパーで左ボディーフックを打った際に負傷。「しっかり(肘を)固定して打てば腱は痛まなかったはず。速いテンポで慌てて打つ感じになってしまった」と説明し、手術した医師からは「スポーツ選手ががその腱を着るのは相当珍しい。学会で発表したい」と言われたと明かした。
2年前から川崎新田ジムが推進する「川崎市働き方改革・生産性向上推進事業」をきっかけに、訪問介護事業の「SOERUTE」(川崎市)に就職。一日6時間の勤務後に練習する生活を送っていたが、3月の引退決意後はフルタイムで勤務し、高齢者向けのボクシングエクササイズなどを担当しているという。今後も同社で勤務を続け、将来はスポーツを通じて人生を豊かにする場を提供していく夢を口にし、「ボクシングは僕の人生に彩りを与えてくれた。振り返ると面白い人生だった。スポーツが楽しい人生の一部になる、そういう人を一人でも多く増やしていきたい」と語った。
井上尚弥のプロテストの相手やスパーリング相手をたくさん務めたことについては「光栄。今やPFP(パウンド・フォー・パウンド)1位、とんでもない選手とやっていたんだと思うし、同じ時代に現役でいられたことは誇り」と話したが、「現役中は絶対に言いたくないと思っていた。今の選手たちはSNSで仲が良いが、若干古い人間なのか、自分以外はライバルというか、自分が一番と思ってやるもの」と持論を展開。この日初めて、井上尚弥のツイッターをフォローしたことを明かした。「これからの人生、井上選手とスパーしたとか日本王者だったことを“そんなこともあったね”と言われるぐらい、今後の自分を高めていきたい」とセカンドキャリアの充実を誓った。