日本人最高齢レスラーがプロレス界の歴史を変えた秘話を明かす グレート小鹿「かわいそうになってさ…」
2023年10月08日 17:54
格闘技
小鹿が語り始めたエピソードは帰国する直前の69年。デトロイトを主戦場にしていた時、1週間に一度、正装して小鹿の前に現れる男がいた。「グッドモーニング、ミスターコジカって、来るわけよ。お前、誰だって、聞いたら、アイム、ブッチャーって」。後年、悪役として大ブレークし、日本人に最も知られる外国人レスラーとなる、アブドーラ・ザ・ブッチャーの若き日の姿だった。
「レフリーに(実力を)聞いたら、アイツ話にならないって。でも、毎週来るんだよ、あの野郎」。自分を売り込む「熱意」に負けた小鹿は、現地のプロモーターや日本マット界へ選手を送るブッカーと掛け合い、当時の最低ギャランティだった500ドルでブッチャーを来日させるように尽力した。
「かわいそうになってさ、毎週来るんだから」と述懐する小鹿に、元全日本プロレスのレフリーだった和田京平氏は「何、ブッチャー呼んだの、小鹿さん? すごいの見つけったっすね」と驚いた。
ブッチャーは70年8月に晴れて初来日。東京スタジアムの試合では、ライバルのジャイアント馬場(1999年死去)と初めてシングルマッチを戦った。関係者のブッチャーに対する評価は一気に上がったものの、小鹿は「あいつ、それで(天狗になるポーズをしながら)これになったんだよ」と言って笑わせた。