たった2戦で!尚弥 2階級4団体最速統一 タパレスを10回KO 世界ベルト10個目
2023年12月27日 04:45
格闘技
判定決着も「よぎった」苦しい展開だった。序盤からひたすらガードを固めたタパレスにパンチはことごとくブロックされた。4回には左フックからの連打でダウンを奪うも、タパレスの圧力は衰えず。井上は珍しく何度もロープ際での戦いを強いられた。
それでも最後に仕留め切るのがモンスターたるゆえんだ。ダメージを蓄積させた10回にガードの隙間から右ストレートを打ち込み、よろめきながら倒れたタパレスに10カウントを聞かせた。「正直手応えはなかったがKOできてよかった。非常にタフな選手に勝つことができ、やってきたことが証明された」。世界戦は21勝19KOとなり、KO率は驚異の90.5%となった。
戦前は圧倒的有利を予想する声が大半だった中「周りの楽勝ムードを吹き飛ばすため」と、10月下旬から来日したメキシコ人4選手と両目付近にあざを残しながらこれまでの世界戦前より30以上多い、過去最多116ラウンドのスパーリングを消化した。それでもタパレスが持つ独特の軌道の右アッパーを何発も被弾。間違いなく最も苦しめられた相手の一人だった。
スーパーライト級に続き、今年7月にウエルター級でも4団体統一したテレンス・クロフォード(米国)に続く史上2人目の快挙。8年3カ月かかったクロフォードを大きく更新する5年7カ月の最速記録となった。世界4階級制覇王者の井岡一翔に並ぶ日本人最多タイの世界戦21勝目で、世界ベルト獲得数は井岡の6個を大きく引き離す断トツの10個目となった。
「スーパーバンタム級に上げて2試合目で4本集められたのは達成感もあり、うれしい。4本のベルトがどうなってもまた熱い試合を見せたい」。前人未到の領域に入ったモンスターはこれからも最強のみを追い求める。