天寿全うしたヤマニンゼファーの馬生…2人の名手の原点となった名馬
2017年05月16日 16:35
競馬
翌年の安田記念は柴田善臣とコンビを組んだ。田中勝が所属厩舎のセキテイリュウオー(同日の新潟大賞典に出走)に騎乗するため回ってきたチャンスを柴田善がきっちりとものにする。2番手から抜け出す横綱競馬で2着イクノディクタスらを寄せつけず完勝。これが柴田善にとってのG1初勝利。柴田善もまた16年3月に史上5人目となるJRA2200勝を挙げるなど屈指の名手として名をはせている。
3つ目のG1制覇となった93年の天皇賞・秋でも柴田善が騎乗。息詰まる叩き合いを制し鼻差で勝利したが、大接戦を演じ2着となったのが田中勝が騎乗していたセキテイリュウオーだった。田中勝はのちのインタビューでもっとも悔しい敗戦にこのレースを挙げている。
2人の名手に初めてのG1勝利をプレゼントしたヤマニンゼファー。余生を送った錦岡牧場の引木晶則氏が「最近は落ち着いて前日まで変わった様子もなく、突然のことで驚いています」と語ったように、「そよ風、と呼ぶには強烈すぎた」と評された現役時代と打って変わって静かに息を引き取ったようだ。
栗田博憲厩舎の後輩であるイスラボニータが安田記念(6月4日)に出走する予定となっている。