【有馬記念】ブラック生産の梁川氏「無事帰ってきてくれれば」
2017年12月18日 05:30
競馬
北島三郎オーナーとブラックとの出合いは1歳の時。2代目・正克さんの時代から半世紀以上の付き合いがあったこともあって、当歳時から「いい馬がいますよ」と声を掛けていた。実際に馬を見たオーナーは「いい顔をしている。俺に似て脚も長い」と気に入り、購入を決断。病気もケガもなく順調に育ち、1歳秋までをヤナガワ牧場で過ごした。
積み重ねたG1タイトルは6つ。梁川代表にとって最も思い出深いレースは菊花賞。「一つだけ挙げるのは非常に難しいですが、クラシックですし最初のG1でしたから。どのレースも“こんな勝ち方もできるんだ”と驚かされてばかりでした」
引退後は社台SS(北海道安平町)での種牡馬入りが決まっており、今は所有する繁殖牝馬との配合を考えることが楽しみだという。毎年7000頭近いサラブレッドが生産される中、再び馬産地に戻り、生き残れるのは、ほんの一握り。「種牡馬の世界も厳しいですから。頑張っていい馬を送り出してほしい」とエールを送る。
いよいよ迎えるラストラン。梁川代表は中山で見届ける。「これだけ勝って、楽しい思いをいっぱいさせてもらいました。もちろん勝ってもらいたいですが、負けたとしてもケガなく無事に帰ってきてくれれば」。最後まで優しく温かい“親心”をのぞかせていた。
◆梁川 正普(やながわ・まさひろ)1970年(昭45)7月4日、北海道生まれ。大学卒業後、ノーザンファームからアイルランド、米国の牧場研修を経て祖父の代から続くヤナガワ牧場を引き継ぐ。