【皐月賞】ステルヴィオ95点!“体調、気分映す鏡”尾に魅力
2018年04月10日 05:30
競馬
ステルヴィオの立ち姿を見て、まず気がつくのは尾の変化。昨年の朝日杯FS時には尾離れが悪いと指摘しましたが、今回は尾の付け根の部分を尻から少しだけ離している。要するに尾離れが良くなった。トモ(後肢)、特に臀部(でんぶ)の力がみなぎっているときに見せる尾の形状です。尾椎(尾の骨)は背骨に連なっているので背腰がたくましくなった証とも言える。押しトモ(角度の浅いトモ)のため筋肉のボリュームは目立ちませんが、尾が太鼓判を押しています。2歳時よりもパワーアップしていると。
肩の筋肉量は明らかに増してきた。460キロ前後の馬体重以上にたくましい。球節からつなぎにかけては弾力性にあふれています。トモや肩のパワーをクッションの利いた脚さばきに転換する絶妙なつなぎです。
立ち方も素晴らしい。朝日杯FS同様にゆったりと大地をつかむ四肢。目を輝かせ、耳をしっかり立てながら、鼻の穴も適度に開いています。過不足ないハミの取り方。気負いは一切ない。気持ちの充実ぶりが立ち姿に表れています。朝日杯と同じように蹄油がしっかり塗られ、行き届いた手入れの跡がうかがえます。
尾離れの良いトモで踏みだすクラシックロード。桜花賞を圧勝したアーモンドアイと同じロードカナロアの初年度産駒がルメールを背に最後の直線で見せる走りとは…。掉尾(ちょうび)の勇を奮う。最後の勇気を奮い起こす走りです。(NHK解説者)
◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の73歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70〜72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94〜04年に日本調教師会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。