【安田記念】アスコット連闘V!春マイル王にG1初挑戦で輝く
2018年06月04日 05:30
競馬
無謀と思える挑戦も、矢作師には確信があった。登録段階で補欠1番手。賞金加算を狙って前週の安土城Sに出走したが2着惜敗。状況は変わらなかったが、水曜朝に賞金上位馬が回避を表明。「馬は問題なかったので、素直にラッキーと思った」と迷わず連闘に踏み切った。普段から戦略的な連闘を多用する師。JRA通算543勝中、今回を含め連闘で41勝。中1週も含めば半数に迫る200勝以上を誇る。「短い間隔で使うことに関しては、日本一得意な調教師だと思う」。そう自負する師にとって、安田記念は熱望のタイトル。10年スーパーホーネット、12、14年グランプリボスで3度の2着惜敗を経験した。「悔しい思いばかりだったので本当にうれしい。安田記念を勝ちたいと思う気持ちは世界一だったから」と笑わせた。
父は14戦無敗で種牡馬入りした欧州の至宝フランケル。同産駒のソウルスターリング(16年阪神JF、17年オークスV)の主戦も務めるルメールは「強い脚を長く使えるのが産駒の特長」と評する。矢作師は「これだけの血統。いずれは世界で戦うべき馬だし、世界的な種馬にしたい」と夢を語る。ただ、年内の海外遠征については慎重姿勢。秋の米G1・BCマイルの出走権も獲得したが「体質が弱く3歳6月までデビューが遅れた馬。成長を見極めたい」と語るにとどめた。一方で、香港メディアから「暮れの香港マイルは?」と水を向けられると「目標の一つにはなる。現地でお会いできれば」とリップサービスも忘れなかった。
欧州の奇跡と称された無敗馬の子が、日本で起こした連闘G1制覇という奇跡。実績に裏打ちされた確信と、勝利への執念が引き寄せたビッグタイトルを誇りに、矢作師とアスコットは新たな夢を追い求める。
◆モズアスコット 父フランケル 母インディア(母の父ヘネシー) 牡4歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・キャピタル・システム 生産者・米国サマーウインドファーム 戦績11戦5勝 総獲得賞金2億2113万5000円。