武豊 JRA4000勝!名馬、伝説とともに32年目で金字塔
2018年09月30日 05:30
競馬
「今日できればいいと思っていた。長年多くの人、馬に恵まれ、ここまで来られた」
大記録をデビューの地、阪神競馬場で達成。ウイナーズサークルでは、4000勝を記念したTシャツを着た騎手仲間が登場するサプライズに「みんなに祝福され、こんなうれしいことはない」と笑みを浮かべ、自らの指を広げ「4」の数字をつくった。
あと3勝として迎えたこの日は3Rをまず制すると、5Rでは親交の深いタレント・木梨憲武の命名馬ゴータイミングで快勝。リーチをかけると、10Rのメイショウカズヒメで決めた。「父(故邦彦氏)の代からお世話になっているオーナー(松本好雄氏)の馬で区切りを達成できて一段とうれしい。父には今日の僕の姿を見てもらいたかったです」と感謝を込めた。
デビュー以来の総騎乗距離は3441万1400メートル。東京―米サンフランシスコ間を2往復できる距離だ。デビュー時からスタート巧者で馬に負担が少ない乗り方。最初は非力だったが、欧州の重い芝や米国のダートで経験を積み、力強さを身につけた。1980年代。欧米と日本の間には高い壁がそびえていた。果敢にアタックし89年、米国で海外初勝利。その後も世界に挑み続け海外でG1・9勝を含む100勝以上。今では、世界中のホースマンが「ユタカ・タケ」の名を知っている。
もちろん、これが終着点ではない。「(4000勝は)一つ一つの積み重ねで、それぞれに思い出はあるが、これで終わりではない。騎手としてもっと成長したいと思って頑張りたい」。次なる目標として「4001勝目。次のレースに勝つこと」とした上で、89年から08年までの20年で計18度獲得したリーディングジョッキー(年間最多勝)についても「難しいとは思うが、もう一度獲りたいと思っている」と続けた。
10月7日には「凱旋門賞」が待ち受ける。今回が7度目の挑戦。「いつかは必ず勝ちたい」――。来年3月に50歳を迎えるが、いつかムチを置く日まで、ひた走る生きざまこそが武豊の存在意義だ。
◆武 豊(たけ・ゆたか)1969年(昭44)3月15日生まれ、滋賀県出身の49歳。87年に栗東・武田作十郎厩舎所属でデビュー。年間最多勝に歴代最多の18回輝いたほか、歴代最多のJRA重賞通算329勝、ダービー最多5勝を含むG1通算75勝など数多くの記録を保持している。日本騎手クラブ会長なども歴任。父は名騎手で知られた故武邦彦調教師、弟は武幸四郎現調教師。