【天皇賞・秋】キセキ上昇 下河辺牧場の雄、ノーザン討ち再び
2018年10月24日 05:30
競馬
キセキ復活への軌跡はハッキリと見て取れた。昨年の菊花賞を制し、明るい未来が約束されたかにも思えたが、その後は苦しい競馬が続いた。初の海外遠征となった年末の香港ヴァーズは後方のまま9着。リフレッシュ放牧を挟んで迎えた春も日経賞が9着、宝塚記念が8着とG1馬の輝きを取り戻すことはできなかった。担当の清山助手は、不振の原因が菊花賞の激走にあったと結論づける。
「結果論ですが、(不良だった)菊花賞のダメージが浮き彫りになった形ですね。大丈夫と判断して香港を使いましたが、精神的な部分や心肺機能は回復しきってなかったんでしょう」
1次登録していた7日の仏G1凱旋門賞を諦め、夏は生まれ故郷の北海道・下河辺牧場で心身ともにリフレッシュ。これが功を奏した。秋初戦となった毎日王冠は意識的に前の位置を取りに行き、それでいて粘りに粘っての0秒2差3着。逃げ切ったアエロリットに追い付くことはできなかったが、“よそいき”の競馬で一定の結果を出したことは高評価できる。清山助手も安どの笑みだ。
「ジョッキーにも話をして、攻める競馬をしてもらったけど、収穫大でした。58キロを背負いながら、最後まで歯を食いしばって頑張っていたし、ひいき目かもしれないけど、本当に能力のある馬だな、と改めて思いました」
当時は攻めの動きが重苦しく、プラス10キロの数字が示すように余裕残しでもあったので、叩いた上積みは大。「馬自身のやる気も違う」と語る今回が、改めて真価を問う一戦となる。
「前走で出して行ったことで、今回はもう少し(ダッシュが)速くなるはず。あの競馬を無駄にしないようにしたいです」
明確な逃げ馬が不在で、いかにも先行有利の流れになりそう。
昨年の菊花賞では7頭のノーザンファーム生産馬を抑えてG1初制覇を果たしたキセキ。今度は“最強軍団”8頭をぶち破っての完全復活があっても誰も驚かない。