平成の女傑ウォッカに続き…ヒシアマゾン、28歳で死す
2019年04月18日 05:30
競馬
米国産馬のヒシアマゾンは2歳の93年、美浦・中野隆良厩舎(09年引退解散)からデビュー。阪神3歳牝馬S(現・阪神JF)でG1初制覇を飾った。当時は外国産馬にクラシック出走が認められていなかったため3歳時はクリスタルC(現在廃止)など裏街道を進んだが、6連勝でエリザベス女王杯を優勝。同年有馬記念では同世代の3冠馬ナリタブライアンの2着に追い込んだ。95年にはブリーダーズCを目指して渡米したが、レース直前に脚部不安で帰国。牡馬相手のオールカマー、京都大賞典を連勝するなど女傑ぶりを発揮し、ジャパンCではドイツ馬ランドの2着と奮闘。96年エリザベス女王杯は2位入線も斜行で7着降着など悲喜こもごもの競走生活だった。
「一番思い出に残るレースはクリスタルC。負けたと思いながら追っていたら差し切ってくれた。あれほどの切れ味を持つ馬はめったにいない。競馬って簡単に勝てる…とさえ思わせてくれた」と中舘師は振り返る。獲得賞金6億9894万8000円は当時の牝馬最高、JRA重賞9勝は当時の牝馬最多。現役引退後は北海道・静内の出羽牧場を経て98年に米国で繁殖入りした。
産駒の重賞勝ちはなかったが、繁殖牝馬としてヒシアマゾンの娘を所有している阿部雅英オーナーは「彼女の名前を思い出させるような馬をターフで走らせることが使命」と語る。孫にあたる1歳牝馬(父ディープインパクト、母ヒシラストレディ)が来年、中舘厩舎に入厩予定。「血統は絶えることなく残っているし、孫娘をしっかり育てていきたい」と中舘師は騎手時代の恩返しを誓っていた。
◆ヒシアマゾン 91年3月26日、米国産 父シアトリカル 母ケイティーズ(母の父ノノアルコ) 現役時代は美浦・中野隆良厩舎所属 馬主・阿部雅一郎氏 戦績20戦10勝(重賞9勝) 総獲得賞金6億9894万8000円。93年最優秀2歳牝馬、94年最優秀3歳牝馬、95年最優秀4歳以上牝馬のJRA賞受賞。繁殖牝馬として10頭の産駒を出した。