【日本ダービー】サートゥル優駿は“通過点” 吉田副代表「凄い競走馬になる」
2019年05月22日 05:30
競馬
「母(シーザリオ)が素晴らしい繁殖牝馬ですし、兄2頭(エピファネイア、リオンディーズ)もG1を勝っている。当然期待していました。生まれた時から馬格があって立派な馬だった。順調に成長し、ここまでは文句のつけようがない成績。凄い競走馬になるんじゃないかなという期待があります」
――皐月賞を振り返って。
「正直、負けるならここかなと思っていました。ホープフルSを勝った時点で、ダービーに一番いいコンディションで臨めるよう、陣営が逆算して決めたローテーション。道中も外を回して安全運転。レースぶりにも余裕があった。叩き合ったヴェロックスも相当いい馬ですから。改めて強いと思いました」
――ロードカナロア産駒は初年度のアーモンドアイに続いてサートゥルもクラシック制覇と大活躍。
「カナロアは現役時代はスプリンター。産駒も短い距離でマイルまでかなと思っていた。ところが生まれてくる産駒はみんな気性が落ち着いている。それでいて体はしっかりしている。早期デビューできる割合が高い。体力もあるので調教しやすい。サートゥルは兄2頭に比べて気性が穏やかなのも好成績の要因でしょう」
――サートゥルは中106日で皐月賞V。同じく生産馬のグランアレグリアは中111日で桜花賞V。いずれも最長間隔でのVだった。
「やはり外厩の存在が大きいです。9年前にノーザンファームしがらき、8年前に同天栄を開設。そこから成績が上がってきたと思います。牧場側もデータや経験を蓄積し、こちらから発信や提案をできるようになってきた。スタッフも競馬に近い馬を日々任されて、試行錯誤して、経験値を高めてきた。今は現場の人間が厩舎と直接やりとりして情報を交換している。厩舎との連携も含め、非常にうまく回っていると思います」
――サートゥルは6月デビュー。早期から活躍する馬が増えている。
「確かに昔と比べてサイクルは早くなった。ただ、牧場側としては準備の整った馬から順番に送り出しているだけ。2歳の早い時期に賞金を稼いでしまえばその後が楽。成長を促すために休ませる時間も取れるし、目標に向けての逆算もしやすい。若い時期に無理使いしないことは、古馬になってからも生きてくると思います」
――ノーザンファーム生産馬は昨年の宝塚記念以降、芝1600メートル以上のG1で負けていない。
「確かにG1では勝っていますが、他の重賞では取りこぼした馬もいる。負けたことから次にどうフィードバックするかが重要になる。現にダートや千二では勝てていない。海外遠征もうまくいかないことの方が多い。今は芝の中距離で結果が出ていますが、うちの牧場が弱いカテゴリーでも強い馬を出せるようチャンレンジを続けたい」
――今後の目標は?
「やはり世界に出て大きいレースを狙いたい。凱旋門賞、キングジョージ、メルボルンC、ブリーダーズC、ドバイ。毎年挑戦していかないといけないと思っています」
――サートゥルは凱旋門賞にも登録した。
「今年はサートゥルとブラストワンピース、フィエールマン、リオンリオンと登録された生産馬が4頭いる。世界中のホースマンが勝ちたいと思っているレース。何回か惜しいレースがあったが、ようやく駒がそろってきた感じがします。たくさんいる中から適した馬を選べるのが理想。日本の速い馬場で結果を出した馬が、必ずしもロンシャンで走れるとは思わない。何が何でも“この馬”というのではない。今年なら4頭の登録馬の中で、一番条件が合う馬で行くことができれば。もちろん全馬行ければ、それが一番ですが」
――最後に意気込みを。
「サートゥルに関しては、まずはダービー。今はそれしか考えていない。ただ相手も強い。ヴェロックスも底を見せていないし、ダノンキングリーも強かった。いい結果が出て、今後につながっていけばいいと思っています」
◆吉田 俊介(よしだ・しゅんすけ)1974年(昭49)4月13日生まれ、北海道出身の45歳。慶大卒。98年ノーザンファーム入社。ノーザンファーム空港牧場場長を経て、現在は同ファーム副代表。クラブ法人サンデーレーシングの代表取締役も兼務する。父はノーザンファーム代表の吉田勝己氏。趣味はサッカー観戦。