【スプリンターズS】タワー、闘争心&強力末脚!余力たっぷり12秒7
2019年09月26日 05:30
競馬
名伯楽流の我慢が実を結ぶはずだ。藤沢和師は2歳時から非凡なスプリント適性を見抜いていた。だが、スプリント戦に絞ることはしなかった。「ルメールも早くから6Fが向くとは言っていた。だが、早い時期から1200メートルを使うと競走馬としての選択肢が狭まってしまう」。距離は詰めるより延ばす方が難しい。あえて厳しいマイル路線を歩ませた。
“超ハイレベル”だった17年朝日杯FSで3着。これは収穫だった。「デビュー前からハミ受けの強いスピードホースだったがルメールが脚をためる競馬を教えてくれた。レースを使うごとに走りが良くなっていった。今が一番いい体つき」。ダノンプレミアム、ステルヴィオ、ケイアイノーテック、ダノンスマッシュ…。現4歳世代を代表する強豪とマイルの舞台でしのぎを削った経験が今の活躍の礎となった。
時は来た。スプリント解禁。今年に入り、短距離路線へシフトした。7Fの京王杯SC(東京)で1分19秒4。前走は6FのセントウルS(阪神)で1分6秒7。2度、コースレコードを樹立した。「前回は本当に強かった。スピードがあるのは分かっていたが、だんだんと短い距離に慣れてきた」(同師)。
マイルを使って覚えさせたから制御も利く。決してスピード任せの馬ではない。だから強い。初参戦となる中山は、まさに“我慢”で培った操縦性が存分に生きるトリッキーな舞台。「コントロールが利くし大丈夫。他の強い馬ともいい勝負ができると思う」。手塩にかけて育てた快速馬。本領発揮の6F戦でスピードを爆発させる。
【夏王者の勝利なし】サマースプリントシリーズ王者は創設以降、12頭が同年のスプリンターズSに挑み、いまだ勝ち星はない。1番人気で2着だった07年サンアディユ、2番人気で2着だった13年ハクサンムーンが最高着順。2年連続でサマースプリント王者に輝いたカノヤザクラ(08、09年)とベルカント(15、16年)もスプリンターズS制覇ならず。タワーオブロンドンが新たな歴史を切り開くか。