無事是…でなくとも名馬だったダンスインザダークに合掌
2020年01月10日 05:30
競馬
熱は上がったが不幸中の幸いなことにカイバ食いが落ちることもなく、程なくして平熱に戻った。そこでダービーを目標に改めて調整した。プリンシパルSを快勝してダービーに臨むと伏兵フサイチコンコルドに差され2着に惜敗してしまう。結局、橋口元調教師がダービーを制するのはその18年後。14年のワンアンドオンリーまで時間を要した。ダンスインザダークのダービーを振り返った同氏は言っていた。「当時は無事に出走できさえすれば勝てるくらいに考えていました。甘かったですよね」
秋になり、ダンスインザダークはフサイチコンコルドへの雪辱の機会を得る。菊花賞で再び対戦することになると、ダンスインザダークが1番人気に推され、フサイチコンコルドは2番人気となった。3冠最後の関門の本馬場へ向かう地下馬道で橋口元調教師はダンスインザダークの手綱を取る武豊騎手から思わぬ言葉を聞いたと語る。
「ユタカが馬の上から“今日は勝ってきます!!”と言いました。彼の口からそんな言葉を聞くのは初めてだったので“並々ならぬ執念を燃やしているんだろうな…”って感じたのを覚えています」
菊花賞を優勝した後、屈腱炎を発症した同馬は引退に追い込まれる。橋口氏は「無事なら相当の活躍をしたでしょうね」と語ったが、それは皆の総意だったことだろう。今はただ安らかに眠っていただきたい。(フリーライター)