【高松宮記念】タワー抜かりなし!藤沢和師、自信のコロナ対策仕上げ
2020年03月26日 05:30
競馬
コロナ渦中のG1。タワーオブロンドンと初コンビを組む福永には特徴をつかんでもらうため追い切りにも騎乗してほしかったが、あえて依頼しなかった。感染が急増する関西圏で移動の自粛が呼び掛けられる中、栗東から美浦に移動させるわけにはいかない。「レース当日に競馬場(中京)で話をするが、同じレースで騎乗しているのでどんな馬かは分かっているだろう。それに…」と語ると、ひと呼吸置いて勝負師の顔をのぞかせた。「自信を持って乗ってもらえる、そういう状態になった。上昇急!1度使うと全然違うから」
10度の調教より1度の実戦 G1通算30勝に王手をかけた伯楽の名言を地で行く走りだ。Wコースで単走追い。休養明けのオーシャンS時は手綱を取ったルメールが「恐ろしく掛かった」と悲鳴を上げるほど気負っていたが、一転、別馬のような穏やかなフットワークを伸ばす。「余計な力みがなくなったよね。前走時は(馬体に)少し余裕があったが、素軽くなった。昨年も使い込んで良くなったからね」と師は続けた。1200メートル戦に矛先を向けた昨夏は3、2、1着と1戦ごとに着順を上げ、スプリンターズSでG1初制覇を飾った。
1度の敗戦には10の敗因 伯楽のこんな名言が今度は勝因に転じる。気負い、太めの解消に加えて、最重量を課された前走の別定58キロから定量57キロへ。その前走は休み明けで直線の反応が遅かった分だけ小回り中山では追い込み切れなかったが、今度は中京が舞台。「大きな馬で少しもたつく馬。直線の長いコースは合う」。師は520キロの巨体を頼もしげに見つめた。
「こういう時こそ、競馬の灯が消えないようにみんなで頑張っていこう!!馬も頑張るはずだ」。マスク姿の人垣の真ん中で伯楽は青空会見を締めくくった。30度目のG1制覇。もちろん勝算はある。