【ジャパンC】コントレイル100点!疲れ知らずの柔らかさ 1カ月前の“激闘”菊花賞より「ふっくら」
2020年11月24日 05:30
競馬
菊花賞では外からプレッシャーをかけてきたアリストテレスの猛追を首差しのいだ。道中掛かりながら3000メートルを何とか乗り切りました。それからわずか1カ月で反動のかけらもない普段通りの体に戻っているのはなぜか。疲労が蓄積しづらい柔軟な筋肉を備えているからです。
3冠制覇はコントレイルにとって通過点なのでしょう。その立ち姿は菊花賞からの新たな進化を伝えています。1カ月前には気持ちの高ぶりから少しだけ上げていた尾をごく自然に垂らしています。精かんな顔立ちでハミをゆったりと受けながら、悠然と尾を流す。3冠馬にふさわしい風格。厳しい経験は人も馬も成長させるものです。菊花賞の厳しい戦いを乗り越えて気性が成長したのでしょう。
中距離体形だけに3000メートルから2400メートルに替われば一層戦いやすい。別表の項目通り、筋肉の張りから腹周り、毛ヅヤ、立ち姿、体形までひと通りチェックした後、目を見て驚かされました。意志の強さと穏やかな気性を宿した光を放っています。過去2頭の無敗3冠馬にも見られなかった不思議な眼光。シンボリルドルフは菊花賞直後のジャパンCで3着、父ディープインパクトは菊花賞後に有馬記念に挑んで2着と、初めて土が付きました。目が口ほどにものを言うなら、この眼光が訴えるものは…。
父の蹄跡も上回る史上初の無敗4冠。もう1段進化したコントレイルなら新たな領域へ飛翔できます。晩秋の青空に真っすぐ伸びる飛行機雲のように。(NHK解説者)
◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。