【ジャパンC】ルメール アーモンドアイV確信!“ラブストーリー”は伝説に
2020年11月24日 05:30
競馬
去る11月1日、天皇賞・秋で日本競馬史上初の芝G1・8勝を達成。レース後、ひょうひょうとG1を勝ち続ける仕事人ルメールが人目をはばからず馬上で涙を流した。国枝師は言う。「彼の涙がG18勝の価値を高めてくれた」
涙のワケは重圧からの解放。ルメールを襲ったプレッシャーは、ファンの期待や関係者の思いだけではなかった。自らの信念。「アーモンドは競馬史に刻まれるべき馬」。8冠馬はいまだかつていない。ともに蹄跡なき境地へ。強く願い、夢がかなった。「彼女は伝説になった。50年後も、皆がアーモンドを覚えている。それがうれしい」
15年に日本へ移籍。以後6年間でつかんだJRAのG1は29を数える。多くの名馬に騎乗したが、アーモンドは特別だった。17年8月の新馬戦。2着に敗れて引き揚げてくるなり、笑顔で国枝師に伝えた。「この馬は大丈夫。心配しないで。次はeasy win(楽勝)です」。新馬離れしたパワー。「長いキャリアはまだ想像しなかったけど、ポテンシャルは絶対的だった」。期待の2歳馬は、瞬く間に日本一になった。
ルメールは同馬との思い出を“Love Story”と表現する。「新記録は達成したので、今回はBonus(ボーナス)。楽しみ」。物語のエピローグとするには、豪華すぎるメンバーが集結したラストラン。鞍上に天皇賞前の気負った姿はもうない。目下のライバル2頭についても、包み隠さず印象を語った。
「コントレイルは乗りやすそうで、いい瞬発力がある。(アリストテレス騎乗で2着の)菊花賞でファイトできることも分かった。デアリングタクトは一番強い。オークスは馬の間をフラフラしながら凄い脚。53キロの重量も大きなポイント。2頭とも負けていない。リスペクトしています」
誰もが認める国内最強ジョッキーは愛馬の最強を証明するため、自然体で大一番に臨む。最後は、おなじみのフレーズでこう締めくくった。「アーモンドとならどんな相手でもNo Fear(恐れない)。勝つ自信があります」。
◆クリストフ・ルメール 1979年5月20日生まれ、フランス出身の41歳。父パトリスは障害の名手。99年に母国でデビュー。03年パリ大賞でG1初制覇。02年から短期免許で来日。05年有馬記念をハーツクライで制しJRA・G1初V。15年にJRA騎手免許取得。18年には215勝を挙げJRA年間最多勝記録を更新。思い出のレースは20年天皇賞・秋。