【阪神JF】ソダシ100点 麗しの純白コートに秘めた大岩のような筋肉
2020年12月08日 05:30
競馬
分厚い肩とトモの筋肉、深い胸前などの骨格、強固な飛節と膝、しっかり浮いた腱…。父クロフネ×母の父キングカメハメハの血統を体現するダート馬の体つき。スピードや切れ味よりもパワーを感じさせます。芝のレースで白星を重ねてきたのは筋肉の質が繊細だからでしょう。今回は芝のG1に挑みますが、ゆくゆくはNHKマイルCとジャパンCダート(現チャンピオンズC)を制したクロフネ同様、ダートのタイトルも狙える芝&砂の二刀流になるのではないか。
ここまで重賞2連勝を含めて3戦3勝。パワーが求められる洋芝で行われた札幌2歳Sではラスト3Fに36秒7も要する消耗戦を制しました。続くアルテミスS。瞬発力が求められる東京の高速馬場(野芝、洋芝のオーバーシード)にも適性を示し、ラスト3F33秒9の速い上がりで完勝しました。パワー勝負と切れ味勝負、性質の異なるレースを連勝したのも、ダート馬のような筋肉の厚みと芝馬らしい筋肉の繊細さを兼備した二刀流の馬体だからです。
白毛と同系色のため目立ちませんが、白い覆面をかぶっています。神経質なのか、それとも頑固な気性なのか。覆面からのぞくのは被毛と鮮やかなコントラストを描いた意志の強そうな黒い瞳。頑固なのかもしれません。ともあれ、立ち姿に力みはない。前方からの緩やかな風に、尾の先を心地良さそうにたなびかせています。
大雪の時節に行われる2歳女王戦。そのヒロインにふさわしい純白ボディーです。(NHK解説者)
◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の76歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。