【きさらぎ賞】ランドオブリバティ、ハミ替えて快走!特殊馬具で“悪童ぶり”封印

2021年02月04日 05:30

競馬

【きさらぎ賞】ランドオブリバティ、ハミ替えて快走!特殊馬具で“悪童ぶり”封印
ウッドチップで追い切るランドオブリバティ(撮影・郡司 修) Photo By スポニチ
 特殊ハミでクラシックロードに返り咲く。「第61回きさらぎ賞」(7日、中京)の追い切りが3日、美浦、栗東トレセンで行われ、前走・ホープフルSを4角逸走で競走中止となったランドオブリバティ(牡=鹿戸)が課題のコーナリングもスムーズに周回した。逸走防止用の新たなハミ着用で汚名返上だ。
 ハミなくして乗馬なしという。馬を乗りこなすため口に含ませるハミは人類最大の発明であり、最古の歴史を持つ馬具。鹿の角や硬い木に代わって金属製のハミが登場した紀元前12世紀以降、改良が重ねられてきた。「このハミで悪いところは一つも見せていない」。鹿戸師が顎の下に金属枠を装着したランドオブリバティに鋭い視線を注いでいる。ハミに金属枠が付いた「ジェーンビット」。昨年のホープフルS(競走中止)で4角逸走した悪童ぶりをこの特殊ハミで封印した。

 追い切りでアピールしたのは優等生の走り。主戦・三浦を背にWコースでダイワダグラス(5歳3勝クラス)の1馬身後方をピタリと折り合いながら追走していく。3、4角をコーナリングの模範を示すようにブレなく回った。直線入り口で手前(軸脚)を替えると馬なりのまま半馬身前に出た。「気分良く走っていたし、やんちゃな少年から少しずつ大人になってきた面もある。もちろん、この馬具の効果も見込んでいます」と鹿戸師は続けた。

 米国から伝わったジェーンビットには逸走防止の3つの効果がある。
 (1)ハミ身(馬がくわえる金属棒)がノーマル型のように中折れしていないため左右に動かない。
 (2)ハミ身が長いためテコの原理が働き、左右に動こうとする馬を引き戻す。
 (3)下顎に付いた金属枠でハミ身を固定できる。

 「やっぱり、このハミだな」。“馬具博士”と呼ばれる同師が馬具資料の山から顔を上げたのはホープフルSの直後だった。2番人気に支持されたが4角で外ラチまで逸脱。3週間出走停止の制裁を科された。更生するのに最も効きそうな馬具がジェーンビットだった。長所は短所という。ハミが口に固定されるため掛かり癖のある馬には逆効果だが、ランドオブリバティにその懸念はない。すぐに馬具店に発注し、年明けから着けた。「角馬場を8の字に周回させたり、毎日、このハミを着けていろいろな調教を重ねてきた」と馬具博士は言う。

 1月20日には平地調教再審査にも合格。実戦を想定した1週前の集団調教でも優等生のようにコーナーを正確に周回し、リハーサルを完了した。「前回はご迷惑を掛けてしまいましたが、厩舎一丸となって調教してきました。あとはレースで成果を出せるようにエスコートできれば」と三浦も汚名返上を期す。ハミなくして乗馬なし。クラシックロードを真一文字に走らせるのは、紀元前から改良を重ねた馬具のニューモデルだ。

 《ステイゴールドもハミ交換で“変身”》種牡馬としてオルフェーヴルやゴールドシップなどの個性派を送り出したステイゴールドも現役時、ハミ交換で変身した一頭。デビュー2戦目にラスト失速して最下位16着。3戦目は4角で逸走し競走中止。その後、ランドオブリバティと同様、制御力の高いハミに変更して調教再審査をパスすると、次戦から2→2→1→1着とレースぶりが一変した。気性が改善した晩年には再びノーマルのハミに戻し、香港ヴァーズを制してG1馬の仲間入りを果たした。

 ▼ジェーンビット 米国で考案された斜行や逸走矯正用のハミ。日本では使用例が少ないが、11年の京都牝馬S、ショウリュウムーンが初着用でモタれ癖を封印して快勝した。美浦トレセン近くに店を構える「ウツミ馬具」の内海雅之社長は「日本で使用されるようになってから10年ほどです。スライドビットのように矯正力が強い半面、操縦性が低い面もあります。馬によってはパシュファイヤー(目を覆う網状の馬具)も逸走防止に効果的です」と語っていた。

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