【日本ダービー】ソールオリエンス95点 皐月賞時よりも全身に張り
2023年05月23日 05:20
競馬
今年、皐月賞から最も大きな成長カーブを描いているのは…。2冠の懸かるソールオリエンスです。1カ月半前とは見違えるほど全身に張りがあります。馬体のシンに強力なバネを仕込んだような躍動感。「随分良くなったな」と、思わず声を掛けたくなるほどの変化です。皐月賞に比べてキ甲(首と背中の間の膨らみ)も抜けてきたように映る。少年から青年への成長。大外一気に突き抜けた皐月賞以上の走りが期待できます。
人間で言えば中肉中背。2000メートルがベストと思わせる中距離体形ですが、胸と後駆がとてもバランス良く発達しています。2400メートルも折り合いさえつけばもちます。オークスではマイラー体形のリバティアイランドが距離不安を一蹴。絶対能力の違いで牝馬2冠に輝きました。牡馬2冠に求められるのも体形を補完するプラスα。そのアルファがキ甲と馬体の張りに表れた成長力です。
前進気勢の強い立ち姿。休み明けを1度使われて気持ちが入ってきたのでしょう。皐月賞時よりも前肢に負重をかけています。ダービーはファンの歓声をまともに浴びるスタンド前発走。気負わずにスタートできるかが最大のポイントになります。序盤を落ち着いてクリアすれば2冠が一気に近づいてくる。“最も成長した馬”が勝つのが令和のダービーです。(NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の79歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~2004年に日本調教師会会長。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。