伯楽の見立て デビュー前の予言的中
2024年03月01日 05:05
競馬
これに対し「先々なので今週ということではないのですね?」と意地悪く返すと、師は笑いながら答えた。「仕上がっちゃったから使うし、もちろん、期待はしているけど、正直、跳びが大きくて、小回り向きの馬ではないかな…」
その馬こそがソウルスターリングだった。同馬は新馬戦を難なく勝利する。レース後「心配無用の強さでしたね?」と声をかけると、真一文字に結んでいた唇を開いて言った。「勝てば良いというものではありません。競馬ぶりを見ていると、やはり小回りは合わない。クリストフ(ルメール)ともその意見は一致したので、今後は広い競馬場を中心に使っていきたいです」
有言実行だった。2戦目は東京開催まで待ったため約3カ月後。このアイビーSを勝利すると、3戦目の阪神JF、その後のチューリップ賞と広い阪神で連勝。無敗で迎えた桜花賞こそよもやの3着に敗れたが、続くオークスでは2着に1馬身3/4差をつけて楽勝。すると、藤沢和師はニコリとして言った。「大きいコースの方が合っていますね」。その笑みには「デビュー前から言った通りだろ?」という矜持(きょうじ)がみてとれたものだ。
藤沢和師は引退したが、ルメールは今年のチューリップ賞でガルサブランカ(木村)に騎乗予定。新潟、東京で1、2着の同馬だが、果たして阪神ではどんなパフォーマンスを見せてくれるだろう? (フリーライター)