J黄金期を知る男が伝えたかったこと ディズニー、映画に並ぶ“文化”を目指せ
2016年11月22日 10:05
サッカー
「日本サッカーの歴史の中で一番華やかだった時代。今は海外の道もあるが、日本にプロができて最初にかかわれたのが自分としても大きい。プロ化したことでW杯も続けて出られるようになった。そう考えると川淵さんに感謝しないといけない」
25年前、Jリーグの誕生で世の中は大きく変わった。プロ野球の陰に隠れていたサッカーに突然、光が当たった。リーグ戦はどの試合も満員、テレビもゴールデンタイムに生中継された。サッカー選手を目指す子供たちを取り巻く環境も変わった。全国各地の少年団などで、資格を持った指導者が正しい技術を教えるようになった。
「僕がサッカー始めたころ、こんな日が来るとは思っていなかった。両親に、海外に行ってサッカー選手になると言っていたが、漠然としたもので、方法も分からなかった」と、永井は言う。
一方で若手に対しては「プロになれたことで満足してしまう。プロはあくまでもスタート地点と分かってほしい。世界という道があるので、そこ目指して頑張ってほしい」と、注文を付けた。
永井は黄金期を知るだけでなく、当時地域リーグだったFC琉球でもプレーするなど、異色の経歴を持っている。「地域リーグも経験したのは財産。上も下も見たし、僕にしかできなかったこと」と、説得力がある。
全体練習終了後に、若手選手と自主練習をしながら、いろいろなことを伝えた。ロッカーでもJリーグが開幕したころ、まだ生まれていなかった選手に当時のことを話すこともある。「Jリーグは文化として根付くことが大事だと思う。文化になるにはいいサッカーをみんなが追求すること」そして、ディズニーランドや映画をライバルと考え、それよりJリーグが見たい――とならないといけないという。こういう考え方ができるのも、Jリーグのいい時も悪い時も知っている永井ならではのこと。貴重な体験は現役を引退しても若手に伝えていってほしいものだ。(記者コラム・大西 純一)
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