中村俊輔氏 国内最高位のS級ライセンス取得へ自身もアップデート「なにげない声がけや立ち位置意識」
2024年05月14日 05:30
サッカー
S級はJクラブや日本代表の監督を務めることが可能な日本最高位の指導者ライセンス。取得には1年以上を要し、全5回のモジュールに加え、海外クラブ研修などを受ける必要がある。
指導実践はお題(全7項目)や4人1組などA級とやり方は同じだが、S級は「プロの試合の2日前にどういう練習をやるのか」など設定がより詳細という。
実際、今回は初日に浦和―鳥栖戦を視察し、俊輔氏は鳥栖の指揮官設定で、試合2日前の練習を大学生相手に実践。クジで引いた項目を、決められた45分間でトレーニング1、ミーティング、トレーニング2、ゲーム形式の1セットで行った。
「例えば浦和に対して、どう高い位置から守備をするかという課題に対しては、味方の2トップに浦和のアンカーを背中で消しながら相手DFにプレスすることを要求したり、ワイドには速い選手がいるから、前からプレスにいきつつも背後への意識を植え付けさせる取り組みをした」
その中でも俊輔氏が新たな発見と強調したのが、「コーチング」。「声が太くて大きい人とか、トレ1、トレ2、ゲームとちゃんとつながって構築できている人とか、いろんな人がいる」。他の受講生のコーチングに刺激を受けながら、自らもA級からアップデートして、トライ&エラーの心構えで臨んだという。
「コーチングの質とか、抑揚とか。“決めるところ決め切るぞ!”とか、なにげない声がけだけど、そういう構築は大事だと思った。あとは練習時の立ち位置。グラウンドの中にいたら邪魔にはなるけど、その方が熱量は伝わるんじゃないかなとか、いろいろ考えながら立つ場所を変えていた」
その他、S級では心拍数に合わせたメニューの実践講習があるという。
「設定された心拍数になるようにトレーニングを各人が考える。自分は無酸素のスピード系だったから、ゴール前からゴール前に走らせるカウンター。ボールを使って心拍数を上げて、メインの練習に向け、心臓を準備させることが大事」
今や監督がボールを用いながらフィジカルトレーニングの要素も含んだ練習メニューを考えるのも当たり前の時代。「今はフィジカル重視のサッカー。ただポゼッションやシュート練習をやってたら、強い集団にならない。やっぱり工夫が必要」。今年から四方田監督のサポートに試合ではベンチ入りしている俊輔氏。そう遠くない日にプロチームを指揮する姿が見られそうだ。
▽JFA指導者ライセンス制度 日本サッカー協会が認定する指導者資格制度。日本代表、Jリーグ、WEリーグなどの監督を務めるのに必要なS級が最上位で、以下A~D級まである。Jリーガーや日本代表経験者は在籍年数や出場試合数による優遇措置がある。例えばB級受講時に国際Aマッチ20試合以上を経験しており、かつ成績優秀だと、通常1年が必要となる指導実績が免除され、翌年にA級を受講できる。22年度のライセンス登録者はA級が2645人、トップのS級は524人しかいない。
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